ずん子ちゃん、ネコの思い出を語る。
ずん子ちゃんが住む部屋。
あ、そういえば今くらいの頃でしたっけね?
なにがです?
……あっ。
……あっ。
そうだな、この頃だった。
……ふう。
その、やっぱりさびしいですよね。
ウチで飼ってたネコ……。
私らよりも年上だったな。
私らよりも年上だったな。
生きてたら何歳になるんでしょう?
さあ?
両親の話ではもらってきたネコだったから、
はっきりとはわからない、といってました。
両親の話ではもらってきたネコだったから、
はっきりとはわからない、といってました。
アイツは身勝手なネコだったなぁ。
しかもやんちゃで手がかかったもんさ。
しかもやんちゃで手がかかったもんさ。
そうでしたか?
そんな印象ありませんでしたけど。
そんな印象ありませんでしたけど。
きりたんちゃんが物心つく頃はもう、おばあちゃんでしたから。
落ち着きが出てきてたんだよ、さすがにな。
いつもひなたぼっこしてて、よくそれを撫でたことを覚えてます。
若い頃は全然触らせてくれなかったがなぁ。
うんうん、すぐに逃げちゃうの。
へえ〜、そんなだったですか。
きりたんちゃんは覚えてないだろうなあ。
うふふ、そうですね。
なにがです?
アイツは妙にきりたんちゃんが好きでなあ。
きりたんちゃんが赤ん坊だった頃はよくそばで丸まってたもんだった。
きりたんちゃんが赤ん坊だった頃はよくそばで丸まってたもんだった。
そうだったんですか?
うんうん、そうだよー。
それをうらやましがって、何度かずん子ちゃんが泣き出したりしてな。
ははっ。
ははっ。
えー、そうでしたかぁ?
そんなことが。
実際きりたんちゃんに一番懐いてたしな。
でしたね。
正直、ちょっと鬱陶しく思うこともありましたよ。
今となれば冷たかったかな、と反省したりしますが。
今となれば冷たかったかな、と反省したりしますが。
まあ、そういうもんだよ。
ですね。
ソイツが生きてる時は、まるで永遠に生き続けるように錯覚してしまう……。
知識じゃ違うと知ってるのですけどね。
そうですね。
「知ってる」と「体験」するは違います。
「知ってる」と「体験」するは違います。
よくある話さ。
私、昔、もしあの子が死んだらすっごく泣くだろうなと想像してたんです。
はい。
けど、実際は泣けませんでした。
そうだったな。
私って冷たい人間なんでしょうかねぇ……。
そんなことは。
というより、アタマにココロが追いついてなかったんじゃないかねぇ。
……そうですね。
今でもまだ実感がないのですよ。
あの子が死んだこと。
今でもまだ実感がないのですよ。
あの子が死んだこと。
……。
実家に帰って名前を呼べば、今でもひょっこり出てくるような気がして。
そか。
葬ったときも、「悲しい」より、「よくわからない」って意識の方が強くて。
なんだか、お芝居を見ているような気分だったです。
なんだか、お芝居を見ているような気分だったです。
私は泣きましたねえ。
ヘトヘトになるまで。
ヘトヘトになるまで。
あれは見てる方もつらかったよ。
すみませんでした。
けど、泣けば意外とスッキリして、それはそれでどうかな? って思います。
けど、泣けば意外とスッキリして、それはそれでどうかな? って思います。
泣くってのは一種の防衛本能だからな、それが当たり前さ。
いたこちゃんは普通……にふるまっていましたね。
ああ。
老いて弱ってく様をずっと見てたからな。
ああ、ついにって感じだったよ。
老いて弱ってく様をずっと見てたからな。
ああ、ついにって感じだったよ。
覚悟してたんですね。
覚えてるだろ?
アイツの死ぬ間際のことを。
アイツの死ぬ間際のことを。
うん。
はい。
あの苦しみからやっと解放されたんだな、って思ってな。
むしろホッとした。
むしろホッとした。
そうでしたか。
……。
同じ出来事でも、同じ姉妹でも三者三様なんだな。
似てない姉妹って有名でしたからね。
まったくです。
でも姉妹だ。
ええ。
ですね。
……。
……。
……。
私が……最年長だもんな。
この流れで変なこと言い出さないでくださいよ。
でも……。
……。
……。
……。
あーもー、重い空気やめ!
メシ食いにいこうぜ! 長姉としておごってやる!
メシ食いにいこうぜ! 長姉としておごってやる!
わ、珍しい!
一言多いぞ。置いてくか?
なにを食べます?
焼き肉だ! こーゆー時は!
おお、豪勢な!
供養としてそのチョイスはどうかと……。
供養じゃねー!
生きる力をつけるためだ!
生きる力をつけるためだ!
そうですね! 私たちがしょげてても誰も嬉しくありません。
わーい、久しぶりの焼き肉ですよ!
わーい、久しぶりの焼き肉ですよ!
おーっと、ダイエットは忘れないでくださいよ?
こ、こんなときまで?
終わり。