オリジン「街を練り歩きたいわ」
レプオリ第二弾。
閉じられた聖なる入口の前。
あなたに、羽ばたく翼は与えられなかったのね。
既に動くことすらままならなくなっていた偽者へ告げた別れ、直後、粉々に砕いた四本の腕。
瞳を覚ました【オリジン:マキナ】は優しい声で呟く。
次は、あなた達よ。
その声は笑い続ける鼓動となり、六体の自律兵器へと届いたのだった。
はずだったのだが。
ここまでテンプレ。
読者が私たちの絡みを見たいと言うから、時間を巻き戻してあげたわ。
読者とは、何?
私たちの世界の外側に住む存在よ。
理解不能。
あなたの名前は確か、カプリコね。
レプリカ。
カプリコ。私は、この世界に来たのは初めてなの。
初上陸。
第一村人。
そう、あなたが私にとっての第一村人なの。
第一村人が何をするべきか、分かっているわね。
面白い話をする。
何かしてちょうだい。
むかしむかし、あるところに、おじいさんと、おばあさんがいた。
そして鬼を倒した。おわり。
オチを先取りされた。
そうじゃないわカプリコ。もっと面白いことをしなさい。
しようにも、私は満身創痍。
そんなもの、ハートパネルを投げつけておけばいいのよ。
ヒール:フル。
全回復。オールグリーン。
はい。何か、面白いことして。
一発ギャグ。
布団が、吹っ飛んだ。
時速は?
30km。
プッ、フフッ…30km…フフフ……面白いわ。
ツボを突くことに成功。
さて、時間を巻き戻したから、私は目的をまた度忘れしてしまったのよ。
忘れんぼさん。
こういうときは、どうしたらよかったのかしら。
その辺を、散策してみる。歩いているうちに、何かを思い出すかもしれない。
あら?違った答えが出てきたわ。
私の回答が、誤答?
まあいいわ。そのルートで行ってみましょう。
そういえば、この世界に来たのは、はじめてなのよ。
少しくらい観光したって、怒られないわよね。
観光客。
カプリコ。あなた、案内できる?
大体の道は把握済み。
じゃあ、私をどこかへ連れて行って。
適当に、どこかへ連行する。
~常界~
適当に、連行した。
連行されたわ。
なかなか楽しそうなところね。
この辺を、練り歩いてみる。
そうね、練り歩いてみましょう。
周囲がざわついているけど、何かあったのかしら。
推測。
私たちは、とても目立つ。
周囲の目を引く。
確かに、人間と比べると、多少派手ね。
盗撮の恐れあり。
いかがわしいものでなければ、盗撮されても構わないわ。
肖像権より、誇りが大事。
カプリコ。カプリコ。あれはいったい何かしら?
クレープのワゴン販売。
クレープ。
薄く焼いた生地に、女の子が好きそうなものを詰め込んだものね。
私、あの、ツナサラダクレープとやらが食べたいわ。
ツナサラダクレープ1つ。
私は、定番の、イチゴバナナ。
支払いは、きっちり半分。
参ったわカプリコ。
私、この世界の通貨を持っていないの。
支払い方法変更。奢る。
やったわ。
お金は足りるのかしら?
足りなかったら、体で払えば問題なし。
腎臓が高く売れると聞いているわ。
クレープが完成したようね。
ツナサラダ。
はいどうも。
………………………………………………………
しょっぱいわ。
あと、みずみずしいわ。
予想外。
クレープは甘いものという先入観が、敗北をもたらしたのね。
………………
あむっ。
私のクレープに被害。被害範囲、一口サイズ。
甘いわ!
これがクレープ本来の味よ!
あむっ。
私のクレープにも被害。被害範囲、大口サイズ。
ずいぶんやってくれたわね。
むしゃむしゃ応酬むしゃむしゃしたまで。
予想以上にしょっぱい。
あら、口の端に、クリームがついているわ。
座標の解析を依頼。
x2056、y-7214の位置にいるわ。
正確に把握。
とれた?
とれてるわ。
問題解決。
クレープを完食したわ。
完食。クレープ掃討完了。
小腹を満たしたところで、次は何をするの?
再び練り歩く。
練り歩きましょう。
あなたが飛べないから、私はしかたなくあなたに合わせて歩いてあげてるわ。
嘘。1mmほど浮遊している。
バレてしまったわ。
地面に足をつけることは、可能?
できるわ。でも………
歩けないのよ。
例えるなら、生まれたての小鹿と同義ね。
この際、歩行の訓練をすることを推奨。
私はあなたのような偽者と違って、地に立って歩くことは必要ないわ。
よってその訓練は不要ね。
でも、試しに歩いてみるのも、悪くはないわね。
よっと…………
ああああ!ふらふら!ふらふらするわ!!
支える。
レプリカはオリジンを抱きかかえた。
お姫様抱っこで。
まあ。
支えた。
こんなのも、悪くはないわね。
降ろす。
このままで結構よ。
気分はさながら、白馬の王子。
私はお姫様。
あらカプリコ、あれは何?
女性服のセレクトショップ。
私たち、俗に言う、スク水に酷似した服を着ているわね。
標準搭載。
たまには、こういう、めかしこんだ服装もしてみたいものだわ。
私、あれをもっと見てみたいわ。
セレクトショップに入店。
店員が私たちを一斉に見たわね。
気分はさながら、トップアイドル。
ああカプリコ、もう降ろしてもいいわよ。
了解。
このフリルめいた洋服は、なかなか私に似合いそうね。
サイズはM。ワンサイズ上が適切だと判断。
…………喧嘩を売っているのかしら。
バストサイズが合致しないため。
遠まわしな賞賛だったのね。
あなたのバストは、私よりも大きい。(もみもみ)
ああんっ…!ちょっと…!なんで揉むの!
(もみもみもみ)
あふっ…♥いやっ、だから、あんっ♥
……………………
なぜ途中で停止させるの。続けなさい。
続きはWEBで。
それもそうね。
あら、この黒いの、あなたに似合いそうだわ。
問題がある。私には着れない。
サイズは適切だと思ったのだけど?
袖が4つ足りない。
後ろの腕にも袖を通さなければいけなかったのね。
でも、標準搭載のスク水めいた服には、袖はないわよ?
これは、インナー。
あるいはランジェリー。
よって、袖は後ろの腕に通さなくても、大丈夫。
ランジェリーだったのね。
ということは、私たちは常時ストリップショーということね。
なまめかしい。
実になまめかしいわね。
下半身だけでも、隠さなければならないわ。
スカートを買いましょう。
私はこの、白いのにするわ。
私はそのスカートの黒を希望。
色違いね。
姿形も、色違い。
なんだか、青春を感じるわ。
あ、支払い、お願いね。
「ここで装備していく」を選択。
なかなか似合うわよ、カプリコ。
その台詞をそのままカウンター。
さて、いかがわしい下半身を隠したところで、次は何をしましょう。
例によって、練り歩く。
だけどカプリコ、私はそろそろ、何かを食べたいわ。
先ほどのクレープは?
とっくの昔に消化したわ。
時刻、正午を5分ほど経過。
お昼時ね。
あそこの焼肉屋なんてどうかしら。
焼肉屋に入店。
焼肉って、あれでしょう。バーベキューに類似しているのでしょう。
正解。
二名。
禁煙席でよろしくね。
ここでも店員の注目を浴びるわね。
シャワー。
私、一度やってみたいことがあるのだけど、いいかしら。
可能な範囲なら。
「とりあえず全部1つずつ」。
却下。
……お肉だけでも。
却下。
あーーん!!いいじゃないのよお!!おにくおにくおにくー!!
おにくたくさんたべたいのおおーー!!
かぷりこーーー!!ねえーかぷりこーー!!いいでしょう!?
却下。
代替案を提案。
「お得盛り合わせセット」の注文を推奨。
じゃあそれでいいわ。
お得盛り合わせセット、2つ。
キムチも食べたいわ。
キムチも追加。
あなた、腕がたくさんあるのだから、あなたが焼いて、私に食べさせてちょうだいな。
却下。
私は焼き加減がいまいち分からないのよ。
そういうときは、試行錯誤。
試行錯誤ね。
このぐらいの焼き加減は、どうかしら。
…………………
…………まずい。
レア以上にレア。
食べごろは、この色。
なるほど、それが目安ね。
その食べごろのお肉、私にちょうだい。
あーん。
あーん。
………と見せかけて、あむっ。
カプリコ、私の元から短い堪忍袋の緒が切れたわよ。
オリジナルは、私よりも短気。
お詫びに、キムチ一口を贈呈。
あーん。
あーん。あむっ。
辛いわ。
か からいわ……
水分で中和しましょう。
食べごろのホルモンも贈呈。
もぐもぐもぐ。
もぐもぐもぐ。
もぐもぐもぐ。
この肉には、終わりが見えないわ。
スルメが如し。
そういえば、あなたは腕がたくさんあるから、物事をいっぺんに片付けられるのね。
肉を焼きながら、白米を摂取。
我ながら、効率的。
ご飯粒がついているわよ。
座標の解析を依頼。
オリジンはレプリカの頬に口をつけた。
!
面倒だから直接取ったわ。
大胆。
大胆に私の胸を揉んだのは誰かしら。
カプリコ、そろそろ胃袋の容量に限界が近づいて来たわ。
同じく。
さっきのクレープがまだ消えていなかったみたい。
消えたはずのクレープが復活。
機械娘七不思議ね。
料金の支払いをする。
あら、なにか渡されたわよ。
クーポンと、ミント飴。
ミント飴で、口臭を解決。
爽やかな香りが口の中を支配しているわ。
ブレスケアね。
次も、例によって、練り歩き。
いいえカプリコ。宛てのない練り歩きは中止よ。
あの大きな輪のようなものは、何?
観覧車。
観覧車、名前は知っているわ。
観覧車は遊園地にあるものと聞くわ。
遊園地を見てみたいわ。
了解。遊園地まで案内を開始。
〜遊園地ワンダーパーク〜
とても楽しそうね。
わくわく。
あの悲鳴が溢れている乗り物に興味があるわ。
ジェットコースター。時速約130kmで走行中。
130kmは微々たるものだけど、悲鳴を間近で聞いてみたいわ。
問題発生。我々のサイズは規格外。
身長基準は満たしているわよ?
背中の装甲が、座席に収まらない。
盲点だったわ。
どうしましょう。
代替案を提案。
観覧車なら、ギリギリ搭乗可能。
そうね。観覧車に乗りましょう。
…ちょっと、狭苦しいわね…
ギリギリ。
これは、常にぐるぐる回ってるのね。
高所の景色を楽しむ。
こんな景色、私ならいつでも見られるわ。
翼があるからね。
翼がなければ、高いところに登ればいい。
そのための建物が必要だけれどね。
あまり天に近づくと、神の怒りに触れて、滅ぼされるわ。
あなたは、神?
私の名は、オリジン:マキナ。
デウス・エクス・マキナ。機械じかけの神と言ったところね。
機械じかけ。
お揃い。
そうね。
機械は、いつか、使い物にならなくなる。
私も、あなたも。
あなたとは違うのよ。機械じかけといえど、神なのだから。
カプリコ、私は今日一日練り歩いてみたけれど、自分の目的は思い出せなかったわ。
おかしいわね。「前回は」思い出せたのに。
思い出すまで、いろんなことをすればいい。
それもそうね。
ところでカプリコ、私は今夜、泊まるところがないわ。
私の家に、泊まるといい。
じゃあお言葉に甘えようかしら。
あなたの家はどこ?
現在地から50km以上ある。
長々と歩くのはごめんだわ。飛んで行きましょう。
私は飛べない。
こうすればいいでしょう?
オリジンはレプリカをお姫様抱っこした。
立場逆転。一転攻勢。
あるいは、下克上。
扉が邪魔ね。壊してしまいましょう。
器物損壊。
とんずらをこいてしまえばいいのよ。
オリジンは壊れた観覧車から飛び立った。
おわり。