くれないの空 第1回
吸血鬼が主人公の長編です。
「彼」と「彼女」の出会い。
それはこんな血のような色の夕暮れの街角。
まさに、黄昏時。
それはこんな血のような色の夕暮れの街角。
まさに、黄昏時。
はっ?!
……。
おや、ひとが来た?
結界を張ってあったのに妙なことだ。
結界を張ってあったのに妙なことだ。
え……ちょっ……あなた、そのひとになにを?!
……。
ご覧のとおり、白木の杭で、ビルの壁面に手足を張りつけにしておる。
し……死ぬじゃないっ?! そんな酷いことを!
はっはっは、コイツが?
この程度でコイツが死ぬものかよ。
この程度でコイツが死ぬものかよ。
馬鹿を言って! 警察を! 警察をケータイで呼びます!
……。
え? アンテナはちゃんと三本立ってるのに……うんともすんとも?
それが私の結界の効能さ。
本来なら人間がこの袋小路に入り込むこともないはずだったが。
本来なら人間がこの袋小路に入り込むこともないはずだったが。
結界ってそんなオカルトじみた!
運がいいのか悪いのか。
お嬢ちゃん、あなたは今、まさにオカルトの世界に足を踏み入れたのさ。
お嬢ちゃん、あなたは今、まさにオカルトの世界に足を踏み入れたのさ。
ふ、ふざけてないで、そんな、小学生の子供みたいカッコして!
外見はな。実は私の年齢が100を超えていると言ったら信じるかね?
馬鹿らしい。
ま、それは嘘だがな。
が、この場を目撃したお嬢ちゃんのその生命はもらう。
これはマジで。
が、この場を目撃したお嬢ちゃんのその生命はもらう。
これはマジで。
ちょっ、なに変な銃みたいなの向けてるのよ!
やめなさい!
やめなさい!
これは杭打ち機……パイルバンカーだ。
元々、対人用の武器ではないが、なにひとも充分に殺せる。
元々、対人用の武器ではないが、なにひとも充分に殺せる。
まさか、それであのひとも?!
察しがいい。観察力がある。
そんな聡明なお嬢さんを殺すのは忍びないが……うふふっ!
そんな聡明なお嬢さんを殺すのは忍びないが……うふふっ!
ちょっ……ええ?! ふざ、ふざけてるんでしょ?!
生憎、私はふざけて「殺す」と言うほど、ひとの命を軽んじてはいない。
あ、ああ……!!
主の御下に逝くがいい……。
あ、あ、あのひとがっ!!
!!!
ぬうっ!
ぬうっ!
GURHHHHYY!
いきなり! 変なケダモノに変身した……?!
ちいっ! 「黒犬」へと変じたか!
危うく背後からの一撃でやられるところだった。
危うく背後からの一撃でやられるところだった。
……。
あ……ひとの姿に戻った……!
やはり「くれない」!
やられたふりをしていただけか!
やられたふりをしていただけか!
……お前たちへの頼み事、通った試しがないな。
なにを。
それでも頼もう。
そこの少女、見逃してやってくれないだろうか。
そこの少女、見逃してやってくれないだろうか。
え……?
ふん、さすがに名うての女好きだな。
問い返すが、それではお前も困るのではないか?
自分の存在が周囲に知られては。
問い返すが、それではお前も困るのではないか?
自分の存在が周囲に知られては。
……いつものことだ。
ほう、大した覚悟。
しかし我らが「十字聖教団」。
主の教えに背く汚れたバケモノの言葉に耳を貸すとでも?
しかし我らが「十字聖教団」。
主の教えに背く汚れたバケモノの言葉に耳を貸すとでも?
……本当に変わらないな、お前たちは。
普遍的と言え。
もらった! 女の命!
もらった! 女の命!
むっ?!
ひっ!
……あ、あんな場所から一瞬で?
……あ、あんな場所から一瞬で?
ぐ……! くうっ!
女をかばって自ら杭に打ち貫かれたか。
ふふっ、計算通りよ。
ふふっ、計算通りよ。
ちょっと、しっかり……!
く……平気だ。
それより逃げろ。僕があいつを引きつけておく。
それより逃げろ。僕があいつを引きつけておく。
それじゃあなたが!
いい。
こういうのは慣れている。
こういうのは慣れている。
え?
逃げてくれないと、僕も本気を出せない。
頼む。
頼む。
う、うん……。
睦言は終わったかね?
こっちの準備は終わったぞ?!
主の御下においていでよ、「天使」!
その名、「黒王(こくおう)」!
こっちの準備は終わったぞ?!
主の御下においていでよ、「天使」!
その名、「黒王(こくおう)」!
……。
「神の眷属」を呼び出したか。
君、早く!
君、早く!
は、はい!
ここで逃してはあとで大主教から大目玉なのでな。
いけ! 捕らえろ、「黒王」!
いけ! 捕らえろ、「黒王」!
……。
それは駄目だ。
どけ。「神の眷属」の成り損ないが。
黙れ、犬め。
ふ……!
この地を闇の底へと墜としてやる。
この地を闇の底へと墜としてやる。
闇は僕の領地だ。
「黒沼」!
なにものも昏迷の闇より逃げられぬ!
なにものも昏迷の闇より逃げられぬ!
あっは! 愚か!
ぐわあっ! 我の首筋を……正確に!
「黒王」とやら、闇の主が誰か、思い知るがいい。
黙れ! 「吸血鬼」風情が!
闇の恐怖、教えてやるよ。
続く。