くれないの空 第4回
くれないの空 第4回です。
血と闇が交わり、その色なお濃く黒く。
逃げられたか。己の不明の至り。
「萌黄」。
今のはいったい……?
今のはいったい……?
「純白」よ。
あいつらは自らの身を「霧」に変化させ、空気の中へと溶け込んでしまったのだ。
今の装備では追えん。
あいつらは自らの身を「霧」に変化させ、空気の中へと溶け込んでしまったのだ。
今の装備では追えん。
信じらんねー。
この「新緑」の銀の短剣をあれだけ刺してやったってーのによ。
この「新緑」の銀の短剣をあれだけ刺してやったってーのによ。
私のスナイパーライフルの「白木の杭」も新品だったてのにさ。
くさるな、「真紅」よ。
お前たち、見事な働きだった。相手がその上をいったというだけのこと。
さすが「くれない」。噂通りのしぶとさ生き汚さ。
お前たち、見事な働きだった。相手がその上をいったというだけのこと。
さすが「くれない」。噂通りのしぶとさ生き汚さ。
「萌黄」……あの「くれない」という吸血鬼、なにか妙な気がするのです。
私の思い違いかも知れませんが。
私の思い違いかも知れませんが。
ほう?
あやつ……私たちを直接狙わなかったような……?
「黒王」をあれだけ簡単に退ける力があるなら、その方がずっと楽に逃げられたはず。
「黒王」をあれだけ簡単に退ける力があるなら、その方がずっと楽に逃げられたはず。
うむ、そこが「くれない」という吸血鬼の不思議さよ。
まさか人間を襲わない吸血鬼……なんて冗談言わないよな?
そうではないが、人間を傷つけることを極力避ける……いや、嫌っているという点が独特なのだ。
あれだけの力をもっているからか?
ヨユーこいてんのか?
ヨユーこいてんのか?
そんな気配はなかった。
むしろ「怯えている」という感じがした。
むしろ「怯えている」という感じがした。
解せないな。
なにを怖がる? あの力、「神祖」クラスとしてもおかしくない。
なにを怖がる? あの力、「神祖」クラスとしてもおかしくない。
我らとの戦いでもほぼ無抵抗。
なぜ一方的に殴られることに耐える?
なぜ一方的に殴られることに耐える?
「くれない」の奇妙さは、あの強大な力と相反するような気の弱さだ。
それがなんに起因するかは不明だが、それが事実ということは今日をもって確かめられたな。
それがなんに起因するかは不明だが、それが事実ということは今日をもって確かめられたな。
気味が悪い。吸血鬼めが。
ま、この先追い詰めて消滅させてしまえば、そんな疑問どうでもいいがな。
くくっ、我らが本気を出すのはトルコの時以来だな。
大物狩りの緊張、たまらない!
大物狩りの緊張、たまらない!
残念だが「本部」の指令で別の吸血鬼を追わねばならん。
え?! どうして!
ここで取り逃がすなど想定外だったからな、「くれない」に割ける時間はもうない。
あんな大物をみすみす見逃すだって?!
「くれない」はその力に反し、危険度の認定が低いからな。
次の標的の方がはるかに危険度が高いから、優先するのは仕方がない。
次の標的の方がはるかに危険度が高いから、優先するのは仕方がない。
まあ、その選択が合理的には違いないさ。
人々を吸血鬼の危険から守るのも私らの仕事だ。
人々を吸血鬼の危険から守るのも私らの仕事だ。
次の標的はなんて吸血鬼なんだい?
最近、東北地方で確認された「緑桜(りょくおう)」だ。
最近、悪名が高まっているヤツのひとつですね。
近年は吸血鬼も活発化するヤツが多くて、私らもずっと人手不足だものね。
本来吸血鬼の少ない日本でも、はしゃぐヤツが増えて面倒だぜ。
本来吸血鬼の少ない日本でも、はしゃぐヤツが増えて面倒だぜ。
まあ、数の上からはゴキブリほど面倒じゃないさ。
連中は基本的に仲間を増やしたがらないからね。
連中は基本的に仲間を増やしたがらないからね。
我らとしては、地道に主の教えを地に広めていくだけだ。
さあ、出発するぞ。
さあ、出発するぞ。
「萌黄」……私だけでも「くれない」を追うために残るわけにいかないでしょうか?
ずいぶんと執着するな。
無理だ。お前が我らの大事な戦力と忘れたのか?
お前が欠けることで他の誰かの命が欠けるかも知れんのだぞ。
無理だ。お前が我らの大事な戦力と忘れたのか?
お前が欠けることで他の誰かの命が欠けるかも知れんのだぞ。
は……。
勝手を言いまして、申し訳ありません。
勝手を言いまして、申し訳ありません。
でも、それもアリなんじゃね?
なにをバカな。
「くれない」は活動が地味なだけに一度見失うとまた見つけるのは至難の業だ。
「目印」くらいつけとかないと、次が面倒だ。
「目印」くらいつけとかないと、次が面倒だ。
お姉さま方……。
しかし「純白」は大事な戦力だぞ。
「緑桜」なんて、さすがに「くれない」ほど強くないだろ?
田舎吸血鬼など3人でおつりが来る。
確かに……「次」を考えれば偵察を残しておきたいが。
敵を軽視するのは……。
敵を軽視するのは……。
「萌黄」はいつも慎重過ぎる。
ま、そこが頼もしいところなんだが。
ま、そこが頼もしいところなんだが。
けど、「くれない」なんて大物を仕留めるには、石橋を叩いてばかりじゃ無理だろ?
むう……。
お姉さま……。
わかった、今回は「純白」の意を汲もう。
ありがとうございます!
へっ、東北土産にずんだ餅を買って来てやるよ。
その代わり、我ら3人だけできりたんぽ鍋を楽しんで来よう。
観光ではないぞ、まったく。
では、「純白」よ、くれぐれも無理はするな。
我が身の命が最優先と心得よ。
では、「純白」よ、くれぐれも無理はするな。
我が身の命が最優先と心得よ。
はい。肝に銘じます。
今の時期でも東北は寒いのかねえ?
どうかな? 日本の最高気温を記録したのは確か東北だったぞ。
では、出発だ。
みなさん、行ってらっしゃい!
続く。