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くれないの空 第5回

くれないの空 第5回です。

タグ:くれないの空

ト書き
命運が絶たれ、異形の枝が接ぎ木される。

その時彼女は。
大垣 ゆん(大垣きゅん物語)
はぁっ、はぁっ、はぁっ……!!
奥 神楽(大垣きゅん物語)
戻ったぞ。
大垣 ゆん(大垣きゅん物語)
ぎ……ぎぎぎぎぎ……っ!
奥 神楽(大垣きゅん物語)
悪かった、拘束して。

でないとこの隠れ家が破壊されてしまうから。
大垣 ゆん(大垣きゅん物語)
ひゅーっ、ひゅーっ、ひゅーっ……。
奥 神楽(大垣きゅん物語)
喉が渇くだろう? そら、これを口に……。
大垣 ゆん(大垣きゅん物語)
!!!

ああっぶ、ふあぁ! ごきゅごきゅごきゅ……!
奥 神楽(大垣きゅん物語)
ほら、口から血が垂れてる。
大垣 ゆん(大垣きゅん物語)
はっ! はっ! はっ!

はあぁ〜っ……。
奥 神楽(大垣きゅん物語)
落ち着いたかい?
大垣 ゆん(大垣きゅん物語)
わ、私はなにを……?
奥 神楽(大垣きゅん物語)
君を腹を減らしていただけさ。

正気を失うほどにね。
大垣 ゆん(大垣きゅん物語)
え、と……私はどこに? なぜ、ここに?
奥 神楽(大垣きゅん物語)
見当識が多少混乱してるのかな?

ここは僕の隠れ家。自分が誰かわかる?
大垣 ゆん(大垣きゅん物語)
私は……「あかね」。16歳。高校2年……それで……。
奥 神楽(大垣きゅん物語)
上出来だ。

なぜここに来たか覚えてる?
大垣 ゆん(大垣きゅん物語)
ええと…なにか記憶がぼやけて……?
奥 神楽(大垣きゅん物語)
無理もない。

吸血鬼になったばかりで血に飢え過ぎていたからね。
大垣 ゆん(大垣きゅん物語)
吸血鬼? 私……今、なにを口にしたの?
奥 神楽(大垣きゅん物語)
輸血用の血液パックだ。
大垣 ゆん(大垣きゅん物語)


待って? まさか私、その中身を、今……!
奥 神楽(大垣きゅん物語)
美味だったろう?
大垣 ゆん(大垣きゅん物語)
ひ……! 吸血鬼って……吸血鬼って!
奥 神楽(大垣きゅん物語)
君と、僕のことだよ。
大垣 ゆん(大垣きゅん物語)
血を……私、飲んで……!
奥 神楽(大垣きゅん物語)
仕方ない。

飲まなくても死にはしないが、気が狂うほどに渇くからね。
大垣 ゆん(大垣きゅん物語)
血なんて……! 血なんて……!
奥 神楽(大垣きゅん物語)
まだ飲み足りないんだろう?
大垣 ゆん(大垣きゅん物語)
まさか! そんなの!
奥 神楽(大垣きゅん物語)
さあ、新しい輸血パックがある。

飲むといい。
大垣 ゆん(大垣きゅん物語)
あ、ああ……!
奥 神楽(大垣きゅん物語)
無理をするな。

これで誰かが死んだわけでもない。
金も払った。裏ルートだけどね。
大垣 ゆん(大垣きゅん物語)
だ、ダメ! こんなもの!
奥 神楽(大垣きゅん物語)
我慢になんの意味もないよ。

ほら、今度はちゃんとストローをつけてやろう。
これならまだ人間っぽい気になれる。
大垣 ゆん(大垣きゅん物語)
う、うう……!
奥 神楽(大垣きゅん物語)
それでいい。

欲求には素直になることだ。
それが僕らの生きる意味となる。
大垣 ゆん(大垣きゅん物語)
うっ……ううっ、ああっ! 

なぜ? なぜこんなに美味しいの……ううっ!
奥 神楽(大垣きゅん物語)
なぜ泣くんだい?
大垣 ゆん(大垣きゅん物語)
わからない。

けど、なんだかいろんなものを一度に失ったような気がして……!
奥 神楽(大垣きゅん物語)
その感覚は正しい。理性か感性かが教えてるんだね。

僕がそれを悟ったのは吸血鬼になってだいぶ経ってからだったよ。
大垣 ゆん(大垣きゅん物語)
あなたもその輸血パックを飲むのね?
奥 神楽(大垣きゅん物語)
ああ。

君もいつか「本当の血の味」を知る時が来るんだろうね。
大垣 ゆん(大垣きゅん物語)
「本当の」?
奥 神楽(大垣きゅん物語)
ひとから直接血を飲むことさ。
大垣 ゆん(大垣きゅん物語)
……!
奥 神楽(大垣きゅん物語)
興味があるなら別に止めない。

それを聞いてウズウズしてるんだろ?
大垣 ゆん(大垣きゅん物語)
そんなこと! 私は……。
奥 神楽(大垣きゅん物語)
恥じることはない、僕らはそういう生き物……いや、存在なんだ。
大垣 ゆん(大垣きゅん物語)
うっ……私、救いようがないわ。
奥 神楽(大垣きゅん物語)
でもないさ。

人間だって「生存」のために、同族を含めて無数の血を流してる。

それは吸血鬼の比じゃない。
大垣 ゆん(大垣きゅん物語)
私、これからどうなるの……?
奥 神楽(大垣きゅん物語)
さあ?

それはいつも僕が知りたいことだよ。
ト書き
続く。