ボカロ/ボイロ

CalltoCall Ep1-9

今回は胸糞展開の為閲覧注意

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東北ずん子
「あぁ、もう嫌な事が多すぎるなぁ。」
自然と愚痴がこぼれてしまいました。中々きつい状況ということでしょうか。
東北ずん子
ゆかりさんの治療は一段落しましたが、目はまだ覚めません。
数値や自分の腕を信じてはいるのですが、人の身体という未知な部分があるものを相手としていると、中々そうはいっても気が休まりません。
東北ずん子
そんな中でもお構いなしに、結月組長は、すみませんと言いながら私に死体を1つ持ってきて検死をしてくれと言ってのけました。
あの人はヤクザの組長としてはコシが低い方に見えますが、すみませんと言ってなんでも通そうとする日本人くさい癖があります。根本が頑固なんですよ。まったく
賢者(男)
「すみません、中々1つの案件で複数の医者に関わらせるわけにはいかず、東北先生にはご迷惑おかけしております。」
東北ずん子
気が付くと私の診察室の入り口に結月組長が居ました。
全く気付きませんでした。噂をすれば影というレベルじゃないです。私はあわてて姿勢を正しました。

「すみません、気配消してやってくるのやめませんか?」
賢者(男)
「気配を消すという行為は、何もオカルトではなく、日々の動き方や呼吸の仕方による所が大きいので、中々やめようと思っても難しいものです。」
東北ずん子
「そうですか。」
ため息が自然と出てしまいます。もう色々参ってしまって中々反論する気力もありません。
東北ずん子
「ゆかりさんのお見舞いでしたら、どうぞ。」
要件は分かってはいますけど、一応白々しい建前を言ってみます。
賢者(男)
「そちらは済ませております。そろそろできてらっしゃる頃かと思いまして。」
東北ずん子
「検死報告書ですか。出来ています。ただ、想像以上にきつかったです。」

私はため息をついて机から先ほど書きあがったレポートを渡しました。
東北ずん子
「まず、死因は銃撃による出血多量とショック死です。」
賢者(男)
「えぇ、弦巻さんから聞いた状況だと、そうなるでしょう。」
東北ずん子
「で、聞きたい事の方ですが、体を調べた結果、腕には注射跡、縄か、ぶたれたか、みみず腫れの跡、火傷の跡。
所謂よくある、お決まりの虐待の跡が、腕だけでなく足、胴体など、全身にありました。古いものから新しいものまで。」
東北ずん子
「ついでに言えば、体の中もでした。何回か堕ろしたであろう形跡もありました。」
賢者(男)
「ありがとうございます。そしてすみません、確証が無かったもので。」
東北ずん子
「・・・良くは無いですが、確かに前職を考えれば、私が適任なのはわかります。」
東北ずん子
前職、まだ姉と一緒にいたころ、私は傭兵として世界を渡り歩いていました。
医学部を出たものの、両親はテロで死に、莫大な教育費、そしてきりたんの育成代を稼ぐには、うかうか研修医なんてやっている場合ではありませんでした。
東北ずん子
幸い、普通の医者は余ってましたが、ドンパチしている中に一緒に行くような命知らずの医者の需要はいっぱいあったため、医学部出たての私でも研修をしながら稼ぐことが出来ました。
東北ずん子
ただでさえナイトメアストームで命が安くなっている世の中でしたので、満足な設備もなく、一杯治療し、同じくらい一杯最期を見てきました。技術は経験によって身に付く、それは医療も同じです。私は皮肉にも日本にいるより何倍も早く技術を習得しました。
東北ずん子
患者も様々でした、当然今回のような患者も1度や2度では済まない程度には見てきました。
東北ずん子
お金をある程度稼いだ私は、前職を引退しました。端的に言って長く続けられる仕事ではないのです。だから需要が常にあるのでしょう。

そして、命というものを自らのために消費していくような生活は今でも私の心を蝕んでいます。きりたんが一緒に働いてくれてなければ、私はもう10回は死んでるでしょう。医者の不養生とはよく言ったものです。
東北ずん子
そういえば、姉さんどうしているかな。まだ傭兵しているのかな。
賢者(男)
「東北先生、お茶を買ってきました。どうぞ。」
東北ずん子
「ありがとうございます。ちょっとぼーっとしていました。」
いつの間にと思いましたが、時計を見ると昔を思い出している間に大分時間がたってしまいました。
賢者(男)
「いえ・・・では、レポートを頂いていきます。こちらは今回のお礼です。」
東北ずん子
「これから、どうされるのです?」
本来であれば、聞くべきではないのかもしれない。でも、そう考える前に聞いてしまった。
賢者(男)
「・・・彼女は黒幕ではありませんでした、でしたら、真の黒幕を突き止め落とし前をつけさせるだけです。」
東北ずん子
「・・・それ、私も混ぜてもらえますか?」
賢者(男)
「それは・・・かつての罪滅ぼしですか?」
東北ずん子
「否定はしません、ですが一番の理由は、こんな胸糞悪い案件を見る事になった大元に”落とし前”をつけさせたくなっただけです。」
賢者(男)
「今、私は黒幕が居て良かったと一瞬思いましたよ。」
東北ずん子
えぇ、お金をやり取りする間柄でなければ、結月組長にも一発入れていたかもしれませんね。

と心の中では思いましたが、口に出して、ビルごと燃やされても困るので言いません。
賢者(男)
「分かりました、では、ゆかりが目を覚ましたら今後の方針を考えますので、ご参加をお願い致します。」
東北ずん子
そういって結月組長は出て行きました。

「もうドンパチなんか嫌だと思っていたんだけどなぁ。」

静かになった部屋で誰に言うでもなく、つぶやきました。

もう、賽は投げられたのです。覚悟を決めましょう。