ダンテ「貴様の奏でるmusic」
あけましておめでとうです。今年もよろしくです。
貴様の奏でる曲は何だ。
炎聖人ダンテが現れたのは幻奏者の前。
貴方ほどの人が動くとはね。
だが、彼女は動じてはいなかった。
聖人の椅子は退屈だったのかしら。
質問に、答えろ。
そして、この時彼は気が付いた。
!
彼女の背後のある男の存在に。
そういうことよ。
………………
………………
………………
………………
………………
………………
………………どういうことだ?
………………さあ?
貴様の後ろに立っている男は何だ。誰だ?
実は私にもよく分かってないのよ。
俺にもよく分からない。
誰…なんでしょうね?私の後ろに立ってるのは?
まだ何者か確定していないからな。
確定していないものね。
そうね、ここは、別の誰かだっていうことで、置き換えておきましょう。そうね…悪戯神にでもしておきましょう。
えっ?僕?
そんなことよりも俺の質問に答えろ。貴様の奏でる曲は何だ。
猫ふんじゃった。
適当に答えるな!
だって、いきなりそんなこと聞かれたって、答えようがないじゃない!
こういうのは雰囲気で察してカッコイイ言葉で返せと学校で習わなかったか!
あなた、学校で何を習っているのよ…
模範解答の一部を紹介すると「破滅のマーチ」や「煉獄のセプテット」などが挙げられる。
…イタいから、そういうのナシね。
厨二の塊のようなこの世界で言うのか?
あなた、今日一番まともなことを言ったわね…
で、質問の答えは?
あー忙しい忙しい。魔界は今戦争の準備で忙しいの。もう帰ってちょうだい。
客人を追い出すのか!?
いきなり窓を突き破って現れたくせに客を名乗るの?
玄関がよく分からなかったから…
あのねぇ、ここ、ディバイン「ゲート」でしょう!?扉くぐってきなさいよ!
窓から登場とか何なのよ!ディバインウィンドウなの、あなたの住む世界は!!
確かにこれは窓だ。しかし俺にとっては扉だ。つまり俺の住む世界はディバインウィンドウではなくディバインゲートだ。
屁理屈じゃないの!
そんなことより俺の質問に答えろ!
そんなことより窓を何とかして頂戴!
窓ってどうやって直すんだ?
知らないわよ。そんなの自分で考えなさいよ。
あなたが壊したんだからね。あなたが直してよ。
どうすればいいと思う?
(甲高い声で)ココ ハ スナオ ニ アヤマロウヨー!
謝罪か…いや、謝罪で窓は修復できないぞ。
(低い声で)ギョウシャ ヲ ヨベバ イインジャナイカ。
業者か…しかし、金が無いぞ。どうする?
(小さな声で)オカネ ナケレバ ナニモ カイケツ デキナイ…
…だよなあ。
…あなた、一人で何やってるの…
トリオと会話していた。
ああ、その、ドライバとね。
…あなた、一回、頭の病院に行ってみたら?
(甲高い声で)ソンナコトナイヨー!
めちゃくちゃイタい子にしか見えないわよ、あなた。
動かすのも喋るのも全部一人でやってて、虚しくならないの?
喋るのは俺一人だが、動くのはこいつらの意志だ。
あら、そうなの?
ああ。自立型ドライバだからな。
俺は声だけ担当している。つまり頭はイカれていないということだ。
一人三役で会話する時点で十分アウトだと思うけど?
窓の修繕は不可能だ。俺は財布を持って歩かない主義だから、現在無一文だ。
ツケにしておけばいいじゃない。
嫌だ借金怖い。
すぐ返せばいいじゃないの。
借金を負った瞬間に、家に黒服の男が押し寄せてくるんだろう?
いや、違うからね?それ、危ない所でお金借りた時の話よ?
もてなすための茶菓子代が足りなくなる。
菓子代あるなら金返しなさいよ!!!
あっ、なるほど。
なるほど!じゃないわよ!あなたそれでも六聖人なの…!?頭弱いんじゃないの…!?
どうしたものか…
だから、ツケにすればいいじゃない。…そもそも、その場で支払なんてしないわよ。あとで請求書が届くから、その時に支払いをするのよ。
そういうシステムだったのか?
そういうシステムよ。
では安心して業者を呼べるな。ク○シアンでいいか?
それ水のトラブルの専門家よ…
では誰を呼べばいいんだ。俺はクラ○アンしか知らないぞ。
窓ガラスに詳しそうな感じの人でも呼びなさいよ。
…そうだな、ここは悪戯神に任せよう。
何?僕、謎の人物だけじゃなくて、ガラス修理業者まで演じないといけないわけ?
で、質問に答えてくれないのか。
貴様の奏でる曲は何だ!
しつこいわね。ノーコメントってことにしておいて。
大体、質問に答えて欲しいなら、そういう高圧的な態度じゃなくて、もっとこう…平身低頭に構えなさいよ。
(しゃがむ)
?
身長を低くすればいいんだろう?
そういうことじゃないわよ!!
上目遣いで見つめられるとすごく複雑な気持ちになるから、とりあえず立って。
(立つ)
ほら、こう、45°に曲げなさいよ。
何をだ?
頭をよ!
(小首をかしげる)
あーっそうじゃない、私の言い方が悪かったわ。頭を下げるってことよ。お辞儀よお辞儀。
こうか!
ついでに帽子も取ってよ。失礼じゃないの。
こうか。
で、丁寧な言葉で言いなさい。「質問に答えてください!」って。
質問に答えてください!
そうそう。それを、最初から、流れるような動作でやってみてちょうだい。
そうしたら質問に答えてくれるんだな?
…まあ、うん、そうね。ハイ、やってみて。
わかった。
(しゃがむ)
そこから再現しなくてよろしい!!!
立って!頭下げるところから!
(立つ)
(小首をかしげる)
そうじゃないってば!!!!
どうすればいいんだ!!
逆ギレしないでよ!!
小首かしげるところはカットで。頭下げるところから!
(45°のお辞儀)
そう、そうそう。それそれ。
頭を下げた拍子に帽子が脱げ、床に落ちた。
(頭に手をやる)
…?帽子が…ない…?
床に落ちたわよ。
しまった…帽子を取らなければならないのに、帽子がない…!?
このままでは次のステップに進めない!詰みだ…!
…いや、次に進んでもいいわよ…
あわわわわわっ…こんなときどうしたら…!
あわわわじゃないわよ、先に進みなさいよ…!
いいい、い、いいのか?
いいわよ!早く次に進んで!
きっきっ、きしゃまっ…アッ違う!貴様の奏でる曲は、
そうじゃないでしょう!丁寧な言葉よ!
アッそうか、貴様の奏でる曲は何ですか!
「貴様」ってところが気に入らない!
あなたの奏でる曲は何だ!
語尾!語尾が素に戻ってる!
あなたの曲は何ですか!
「奏でる」が抜けてるじゃないの!
あなたの奏でる曲!
今度は述語が抜けてるじゃない!
あなたの奏でる述語は何ですか!
曲よ、曲!述語は奏でるものじゃないわよ!
あなたの奏でる曲が好きだ!
何で告白しちゃうのよおおおおおおおおお!!!!!!!!!
顔が真っ赤だぞ。
う、うるさい!そんなのどうでもいいじゃない!違う!そうじゃないでしょう!
あなたの奏でる曲が好きだから!
好きから離れなさいよ!!
あなたの奏でる曲を奏でたいから!
なんでそうなるの!!なんで!!
あなたと一緒に奏でたいから!!
いい感じに改変するのやめなさいよ!!
あなたと一緒に曲を奏でたい!!
もうワケわからなくなってるじゃないの!!
あなたと一緒に、
もういいからそういうの!!やめにしましょう!!
そうか。ではやめよう。
何でやめちゃうのよ!
やめろと言ったのは貴様だろう…
あーもうワケわからない!何が何だかさっぱり…!
さっぱりなのはこっちの方だぞ。
そんなことより質問の答えは?
ちょっと考えさせて…
顔が赤いぞ。熱でもあるのか。
ヤダッこっち来ないで!
ファティマのアポマリが、ダンテの股間のメゾピアノなトリオにフォルテシモした!!!
――――ッ!!???
ハァーーッ、ハァーーッ、ハァーーッ…!
貴様ッ…!!
あッ…ご、ごめんなさい、さすがにやりすぎたわ…
許さんぞ…!
ご、ごめんなさいってば、本当に、で、でもあなたも悪いわよ!
や、やだ、そ、そんなに怒ることはないじゃない!ねえ!
ちょ、ちょ、ちょ、落ち着きましょう、ね、な、何でもするから許して!ね!お願い!
ちょっと、や、やめっ、やめっ…キャーーーーーッ!!
数時間後。
不夜城ナイトメアの大広間に、二人は立っていた。
二人の間に流れるのは、優雅なワルツ。
二人は手を取り合い、三拍子に合わせ、ステップを踏んでいた。
………………
………………
………………
………………
………………何でこうなったのかしら。
………………よく分からないな。
………………ええと、これ、どうしたらいいのかしら。
そろそろ夕飯の時間になってしまうから、帰らなければならないのだが…
あ、そ、そう?じゃあここで終わりにしておきましょう。
すまないな。続きはまたの機会にしよう。
ま、またの機会って何よ!また来るつもりなの!?
質問の答えをもらっていないからな。次の機会までに考えておいてくれ。
えっ、ちょっ、
さらばだ!!!(パリィィーン!!)
三時間かけて直した窓ガラスがーーーー!!!!!!!
ど…どうすればいいのよ、これ…!
答えは神すらも知らない。
つづくかもしれない。