教養

ぶらりと食べ歩く <変わったフレンチ店>

久しぶりに気が向いたので

タグ:グルメ 旅行

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近くにスーパーが出来た。

通常のスーパーではなく、ご当地ものの、少し変わったものや、海外輸入品などをメインでおくスーパーだ。
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実を言うと、と念押しするまでもなく、私はそういうちょっと通常では見ない物に対して
財布のひもが極端にゆるかったりする。

その為、限定何個、ここでしか手に入らない系に、ついつい引き寄せられては、当たったり外れたりを繰り返している。
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そんな私にとって、この新しいスーパーは愛しい恋人のようであり、一方で金を再現無く巻き上げていく魔性の存在でもある。

端的に言うと、悔しいけど感じちゃう系な店ということであり
今の流行に則って名づけるとすれば、くっころスーパーとなる。
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くっころスーパーと言うと、なんかドラゴンボールのピッコロさんを呼ぶときの悟飯のようなボイスで脳内再生される。

何故女騎士じゃないのか、と思う気持ちもあるが、私の中で女騎士の定番ボイスが定まってないせいでもある。
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まぁ、そんなくだらないことをスーパーの建物を見ながら考える奴は私くらいなものだろう。

別に他に居ても困ると思うが、
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と、ふと、店の入り口の隣にイーゼルにかかったホワイトボードが見えた。

これが黒板で手書きなら、おしゃれ系イタリアンやフレンチにあるやつと言いたい所だが、残念と言うか、何と言うか、ホワイトボードには紙切れが張り付けてあるだけだ。

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見るとスーパーの2Fにある、フレンチレストランのランチメニューのようだ。

オムライスやら、スパゲティやら、ステーキやら、メニューと共に一言書いてある。

文面を見ても、くっころスーパー的には、オシャレ度が足りないというか、妙な所帯じみた匂いを感じる。
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しかし私は、オシャレ度が高過ぎると無意識に警戒する程度には、痛い目を見ているので、逆に興味がわいてきた。

折角の巡り合わせだ。この妙なフレンチを味わってみるか。
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そう思い、スーパーの外の階段を上がる、一応スーパーの2階ではあるが、テナントのような扱いになっており、スーパーの1Fからは行けない仕様になっているようだ。

階段を上り、妙におしゃれなテラスのような通路を歩く。すぐに店にはついたが、看板らしい看板もない。
まぁ、一本道だから間違うわけはないのだが、なんだろうか、この妙な隠れ家感は
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中に入ると黒を基調とした、おしゃれな内装が目に入る。

結構広く机の数も多い、30名くらいは入れそうだ。

店内から通路とは別のテラスへと出られる箇所があり、天気のいい日であった為、何人かはテラスの方のテーブルで食事をしている。
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表での所帯じみた匂いを他の人も感じたのかは分からないが、おしゃれな内装の割には、客層は老若男女幅広い。

お洒落系によくあるリア充以外お断りオーラも特にないので、内心当たりの店かな。と思い始めていた。
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席につき、ランチメニューを見る、スパゲティにリゾット・・・黒トリュフ入りリゾットか、ステーキとハンバーグもある、と、メニューの中に限定10食という単語が目に入った。

オムライス・・・オムライスで限定10食・・・まるで合わない。

そもそもオムライスに限定を付けるような希少食材を使うという思考が分からない。
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オムライスにしては値段が高いとか、なんかちょびっとしたのが出てきたらとか、色々頭にはよぎった。だが、限定と言う言葉の前には些細な事なのだ。

「このオムライスを」

私は店員にそう注文する。そう、悔しいけど頼んでしまうのだ。
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頼んで、しばらくゆっくりできるかと思ったら、あまり時間をおかずに前菜のサラダが来た。

サラダ自体は、この手の店によくあるグリーンサラダだが、量が異常だった。

前菜のサラダと言うと小鉢とかに少量盛る店ばかりを見てきたが、何故か、通常スパゲティでも乗りそうな大皿にサラダの山が出来ている。

まるで、たくさん食べてやーとか言う、おばちゃんのやる定食屋みたいなノリで盛ってある。
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あらためて見回すが、目に映るのは、おしゃれな内装のフレンチ料理店だ。

混乱しそうになる思考を、まぁ、ランチだし多少サービスしないといけないのだろう、と無理やり納得させてサラダに手を付ける。

うむ、みずみずしい野菜の感触とフレンチドレッシングが合わさった普通によくある感じのおいしいサラダだ。
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サラダ来たから次はメインディッシュかと思ったら、次に出てきたのは茶碗蒸しの容器だった。

待て、落ち着け、ここは日本料理屋ではない、フレンチ料理店だ、己を見失うな。

冷静に呼吸を整え、再度見るが、やはり茶碗蒸しの容器だ。
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そんな不思議な顔をしていたら、店員が説明くれた。

どうも、洋風茶碗蒸しだという、中を見ると、薄い赤みがかかったトマトソースのようなものが茶碗蒸しにかかっている。中々変わった料理だ。

食べると、ほのかな酸味と和風だしが妙に合う。味の比率は茶碗蒸し感が、やや高いが、アクセントとしてソースがいい感じに溶け合っている。
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しかし、驚くべきはその手並み、サラダと茶碗蒸し、ここまで予測した範疇を見事に超えている。
まさか、おしゃれを押さえつつ、決しておしゃれだけに特化して量を少なくしない。中々侮れない店だ。

これはメインディッシュも、気合を入れて挑まなければならない。
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と、覚悟を新たにしていた私の前にメインディッシュがその姿を現した。

「・・・なんだこれ。」

料理を見た第一声がそれだった。
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それは、オムライスというには
 あまりに大きく
    分厚く
       重く
    定番のケチャップソースもかかっておらず、
                     大雑把な見た目だった。
 それはまさに卵塊だった。
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眼の錯覚かと思い、視点を変えてみるが、やはりでかい。

そして私の知るオムライスの中に、こんな形の料理は見たことが無い。

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ソースは、隣のミネストローネみたいなものをかけるらしい。

ちょっとカレーっぽい味がするソースだ。

とりあえず、味を見てみようとスプーンを入れると、驚くほど軽く入った。
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口に運ぶと、すごいふわふわしたスフレケーキのような食感だ。

中にはチキンピラフが全体の半分くらいつまっており、残りの半分をふわふわ卵の層が覆っている。

オムライスと言えば卵とチキンライスのがっちりとしたタッグのような味がウリだと個人的には思っているが

このオムライスは、卵のふわふわの触感を包み込むようにチキンライスがパンチを利かせている。
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卵に包まれているオムライスが、チキンライスに包まれている、とはいえ、味はそれほどついてないが、ふわふわした食感が、恐ろしいほどの主張をしてくるので、決して卵も脇役ではない。

ソースをかけてみると、ソース自体も具材の入ったどっしりとしたものであり、混ぜる事で卵とチキンライスが、一体化していき、また1層変わった味わいとなる。
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しかしなんだ、オムライスの具材を使っているはずなのに、オムライスを食べている気がしなくなる。

何か新しいような、それでいて、安心するかのような妙な、この感覚は、食べ終わるまで途切れなかった。
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スフレっぽい食感から軽いかと思ったが、大きさが大きさの為、満足感は凄い。

これなら多少高めの値段も納得だ。

食後のコーヒーもうれしい。
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会計を済ませ、店を出た私は、満足した気分で一杯だった。

しかし、看板も出さないスーパーの二階にひっそりと佇む店か、田舎の街中でやってくには、もうちょっと露出が必要な気がするなぁ。

私は、そんなことを思いながら1階のスーパーへと引き寄せられていった。