プレミアムフライデーなんてなかった――東北ずん子小説日常編29
今年2月から始まったプレミアムフライデー。月末の金曜日は15時に仕事を終えることを奨励する制度ですが、みなさまの職場はプレミアムな金曜日を提供してもらえているでしょうか。
プレミアムフライデーの恩恵を受けているみなさま(プレミアム会員)につきましては、周囲の目を気にせず、ぜひともSNSなどでプレミアムなひとときの様子をお見せいただき、「金曜日15時に帰宅できない会社はブラック」という風潮を広めていってほしいものです。
ホントお願いしますよ! 特に提案した官庁と経済界のみなさま!
プレミアムフライデーの恩恵を受けているみなさま(プレミアム会員)につきましては、周囲の目を気にせず、ぜひともSNSなどでプレミアムなひとときの様子をお見せいただき、「金曜日15時に帰宅できない会社はブラック」という風潮を広めていってほしいものです。
ホントお願いしますよ! 特に提案した官庁と経済界のみなさま!
(――東北某所・ずん子がバイトしているファミレス――)
「「「かんぱーい!」」」 

いつもと変わらない雰囲気のファミレスに、いつもより明るい声が響きます。
ドリンクバーのグラスで乾杯しているのは、イタコ、めろん、あわもの三人でした。
ドリンクバーのグラスで乾杯しているのは、イタコ、めろん、あわもの三人でした。
ごく、ごく、ごくっ……。
――っぷはぁ~っ!! やっぱり金曜日の砂糖水はおいひいね~!///
――っぷはぁ~っ!! やっぱり金曜日の砂糖水はおいひいね~!///
いやいや。学生のあわちゃんが真っ先にくつろいでるのはおかしいですわ……( ;^ω^)
まったくです。今日は月末、プレミアムフライデー……。
「必ずしもいつもより早く帰れるわけではないけれど、なんとなくプレミアムな感じで過ごせる気がそこはかとなくする社会人の安息日」なのだけど。
「必ずしもいつもより早く帰れるわけではないけれど、なんとなくプレミアムな感じで過ごせる気がそこはかとなくする社会人の安息日」なのだけど。

学生は学生で大変なんです~!///(ゴクゴク
ずん子ち~ん! 砂糖水おかわり!
ずん子ち~ん! 砂糖水おかわり!
はいは~い! どうぞっ!(≧∀≦)ノ(コトッ
おっ、早いね~/// +10点!!
はあ……仕事で疲れた心をずん子ちゃんの脚で癒す……。
これぞプレミアムフライデーですね……。
これぞプレミアムフライデーですね……。
はい、ずんちゃん! ちょっとそこに立っててですわ!(゚∀゚)ノ
えっ……こう?(・ω・`; )
……よしよし(´∀`)
では改めて……ずん子ちゃんの脚に!
「「「かんぱーい!」」」
うぇ~い!!///


月末の金曜日。そのテーブルには、プレミアムな時間が流れていました。
テーブルの奥でふてくされている、ひとりの少女を除いては。
――……飲みニケーション、死すべし……。


――東北ずん子小説・日常編 29話――
しかし、最近の子どもたちはメンタルが繊細で気疲れしますね……。保健の先生というよりカウンセラーの気分。
あ、分かりますわ!ヽ(`Д´)ノ
他人に認めてもらいたい、でも深い関係を築くのは怖い……そんな矛盾に悩んでますわよね!
他人に認めてもらいたい、でも深い関係を築くのは怖い……そんな矛盾に悩んでますわよね!
うわっ! 出た出た、社会人の「最近の若者はー」厨!
そんなのいつの時代も同じだっての!
そんなのいつの時代も同じだっての!
ずんちゃんはどう思う?(`・ω・´)ノ
え、私バイト中なんだけど……。
というか、そもそも三人ともそんなに年齢変わらないよね?(´・ω・`)

というか、そもそも三人ともそんなに年齢変わらないよね?(´・ω・`)

違いないですね。
「「「HAHAHAHAHAHAHA!!!」」」
(――出た……。飲み会特有のなにがツボだったのか分からない馬鹿笑い……)
盛り上がっている三人をきりたんが冷たい目で見ています。
それと、もう一匹――。
なーにがプレミアムフライデーなのだ。ずんだもんには1ミリも関係ねーのだ(グビグビ


ずんだもんも、楽しそうにしている一同を恨めしそうな眼差しで見ていました。
――まあ……。ずんだもんには労働者の権利とかなさそうですよね。「ずんだアロー」でいつでも呼び出されるし……。
はあ……。飲み会しんどいのだ……。来るんじゃなかったのだ……。
――一応、めろんさんとあわもさんの申し出で「平日にお祝いできなかったタコねえさまの誕生会」っていう体で集められたわけですからね。さすがに不参加はちょっと……。
誕生会なら24日にやったのだ!
なんでわざわざ週末にもう一回やらにゃあならんのだー!
なんでわざわざ週末にもう一回やらにゃあならんのだー!
――まあ、そうですけど……。
――おっといけない、こんな話をしている場合じゃありません。
……?
そう言うと、きりたんは突然雰囲気を変えました。
彼女はしんどそうに「――ふう……」とため息をつくと、熱を測るように額に手を当てて俯いてしまったのです。
彼女はしんどそうに「――ふう……」とため息をつくと、熱を測るように額に手を当てて俯いてしまったのです。
……?
きりちゃん、大丈夫?(゚ω゚; )
きりちゃん、大丈夫?(゚ω゚; )
――……あ、ええ。大丈夫です。
今日はちょっと朝から体がだるくて……。

今日はちょっと朝から体がだるくて……。

ほえ~。ムリしないでね~(グビグビ
――はい……。
(こ、これは……!)
(「体調悪いアピールを事前にしておくことで、場の雰囲気を乱さずに早退」戦術の仕込みなのだ……!!
社会人の悲哀が生み出したこの戦術を、なんで若干11歳のきりたんが……!?)
社会人の悲哀が生み出したこの戦術を、なんで若干11歳のきりたんが……!?)
(――ふふふ。わたしの飲み会撤退戦術は108式までありますよ……。
なにせ、暴走したずんねえさまの「ずんハラ」(ずんだ食えハラスメント)に鍛えられてますからね……!)
なにせ、暴走したずんねえさまの「ずんハラ」(ずんだ食えハラスメント)に鍛えられてますからね……!)
――あの……申し訳ないんですけど、わたし今日はあと15分くらいで帰……。
……(スッ
――……えっ?
めろんちん、なにそれー? ラベンダー?
深呼吸して……この香りを嗅いで……。
はい、すー……はー……。
はい、すー……はー……。
――えっ、あ、いや……。
交感神経を休ませて、副交感神経を優位にするの。
指先……そして足の指の先端から……体内の「疲れ」が空気になって抜けていく……。

指先……そして足の指の先端から……体内の「疲れ」が空気になって抜けていく……。

(……アロマセラピー?)
(みたいですわね……( ;・∀・))
――疲れ……抜けて……スーッと……。
そうです……。
そして……貴女はあたしの言うことをなんでも聞くようになる……ずん子ちゃんの秘蔵ふともも写真を渡す……。
そして……貴女はあたしの言うことをなんでも聞くようになる……ずん子ちゃんの秘蔵ふともも写真を渡す……。
――はい……。きりたん、めろん先生に秘蔵ふともも写真を渡しまs
待って待って待って!?∑(゚ω゚; )
アロマセラピーじゃなくて催眠術だよそれ!?

アロマセラピーじゃなくて催眠術だよそれ!?

――はっ!? わ、わたしはなにを……!?
……ちっ……。
あらあら。顔色がよくなりましたね! セラピー成功です!
いま舌打ちしなかったのだ?
……。
……元気なきりたんちゃんにかんぱーい!!


うぇ~い!!///
ごまかしかた下手なのだ!?
(――1時間後――)
(――結局帰りそこねてしまった……)
飲み物おかわりしてきますわー(o'∀')ノ
はいはーい。
…………。
……ねえねえきりちん、好きな人とかいないの~?/// ずん子ちん以外で!
(――うわっ、間が空いたからってこっちに話振ってきた!)
――いや……わたし、小学五年生なんで……。


えー? 小五って一番アレじゃない? アレな時期じゃない?
アレですよね。
語彙が足りてねえのだ……。
じゃー始めよう! 「きりちんの好きな芸能人当てゲェーム」!!
――ええ……?
と、突然の恋バナからの謎のゲーム形式!
しかも芸能人ならみんな顔と名前が一致するだろうという傲慢な決めつけ!
絵に描いたようなめんどくさい飲み会ムーブなのだ!

しかも芸能人ならみんな顔と名前が一致するだろうという傲慢な決めつけ!
絵に描いたようなめんどくさい飲み会ムーブなのだ!

さっきからやかましいわね。ずんだシェイク飲んでてちょうだい。
むぐっ!?
…………(チューチュー
うーんとね、じゃあ……この中ならどの人が一番タイプー?


と、あわもがスマホの画面を見せてくれば、
貴女はだんだん素直になる……素直になって恋バナにノってきたくなる……。
めろんは再びきりたんに「チャーム」をかけようとしてきます。完全にアルハラです。
(き、きりたん……)(チューチュー
――……(ニヤリ
……?(チューチュー
――prrrrrrrrrrrr!
飲み会開始からちょうど一時間。そのタイミングで、きりたんのスマホから着信音が響き渡りました。
――あー、すいません。電話ですー(棒)
(こ、これは……!)
――おっ、友達からです。どうしたんでしょう……?
もしもし? えっ、今すぐ来てほしい?(棒)

もしもし? えっ、今すぐ来てほしい?(棒)

(「特定のタイミングで電話をかけてもらってその場から抜け出す電話キャンセル」戦術……ッ!!)
え~? 誰~?
――せりちゃんっていうクラスメイトです。知らないでしょうけど。
せりちゃん? 知ってる知ってる~! 電話代わって!
――えっ!?
爽やかに笑って、あわもはきりたんのスマホを受け取りました。
やほー! せりちゃん、ボクだよ。あわも! 元気ー?
スマホから響く声<きゃああああああああああ!? あわも先輩いいいいいいいいい!?
黄色い声ですね……。
――この天然ジゴロ……いつの間にわたしのクラスまで毒牙に……!?
どしたの? 緊急?
うん。……うん。なぁるほどー!! じゃーさ、せりちゃんも飲み会おいでよー!

うん。……うん。なぁるほどー!! じゃーさ、せりちゃんも飲み会おいでよー!

スマホから響く声<はいっ! 行きますっ! 絶対行きますっ!
――……!? ちょっ、それじゃあ作戦が……!
(ピッ せりちゃんも来るってー!
……誰?
(見ず知らずの人を平気で飲み会に呼びつけておいて、「一瞬で仲良くなれるでしょ!」とでも言いたげなあの表情……!)
(――こ、怖い……リア充こわい……!)
うぇーい!


(――2時間後・店外――)
「「「ヨーオッ!」」」
パン! と、一本締めの音が響きます。
いやー、改めてお誕生日おめでとうございます。
おめでとー!
ありがとうですわ! 楽しい飲み会でしたわ!O(≧▽≦)o
未だに元気な三人の横で、きりたんとずんだもんはげっそりしていました(せりちゃんは満足そうに帰りました)。
結局逃げ切れなかったのだ……。
――せりちゃんが帰るタイミングに合わせる作戦も失敗……。
「ソシャゲのイベントが始まるんです」作戦も失敗……。
「明日の朝早くて」作戦も失敗……。
「ソシャゲのイベントが始まるんです」作戦も失敗……。
「明日の朝早くて」作戦も失敗……。
さすがキープ力(恋愛的な意味で)に定評のあるふたりなのだ……。
――で、でも、これで解散です。やっと帰れます……。
じゃあ、二次会にいきましょうか。イタコさん、大丈夫?


――……!?
もちろんですわ!ヽ(o'∀'o)ノ
じゃあ、お店取っちゃいますね(prrrrrr
――に……二次会!?
まずいのだ! 完全に徹夜コースなのだ!
――し、しかし……この流れは……!
ええ。はい。
ええっと……あたしとイタコさんと、きりたんちゃんと……。
ええっと……あたしとイタコさんと、きりたんちゃんと……。
――やっぱり数に数えられてるー!?
きりたん! 思い切ってここで切り出すのだ!
――あっあっあっ……でも、もう予約が……!
二次会は北海道オススメの農場系列店ですわ!
楽しみですわねー、あわちゃん!(ノ゚∀゚)ノ
楽しみですわねー、あわちゃん!(ノ゚∀゚)ノ
あ、ボクは帰りまーす。


えっ!?
ちゅっ!?∑(゚Д゚; )
じゃーねー。お疲れー(テクテク
えっ、えっ……?
…………( ゚д゚ )
……行っちゃったのだ……。
えっ……いや……さっきまであんなにノリノリだったのに……。
なんて切り替えの早さ……!
なんて切り替えの早さ……!
こ、これが……最近の若者……!?((((( ;゚Д゚)))))


(――プレミアムの神か……!)
――その後、きりたんとずんだもんも無事に二次会を回避。
飲み会の反動で土日は家から一歩も外に出ない生活をしましたが、それはまた、別のお話。
飲み会の反動で土日は家から一歩も外に出ない生活をしましたが、それはまた、別のお話。
――おわり――