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LOVE魔王 第11話

タグ:LOVE魔王 魔王ふたり

小日本(こにぽん)
東の魔王を廃し、その替りに魔王の座につけるものを探しに来てみれば。
琴葉 茜
う、うぐっ、ひっく。
小日本(こにぽん)
南の勇者がこやつだったとは。
琴葉 茜
あなた、だぁれ?
小日本(こにぽん)
勇者となれば魔王へと置き換えるのに充分な素質があるはずだが……。
琴葉 茜
私は勇者なんてやだよお。辛いばかりで嫌なことばかりで。
小日本(こにぽん)
いい歳をしてべそをかくな、南の勇者。
琴葉 茜
泣くしか……これしか知らないもの。
小日本(こにぽん)
なんという惰弱。これでよく勇者になれたな。
琴葉 茜
なんで、なんで私ばっかり怖い目に?
小日本(こにぽん)
まあ、コヤツの「数式」を魔王へと書き換えてしまえば、どうにでもなるだろう。
琴葉 茜
やだっ! こっち来ないで!
小日本(こにぽん)
無駄な抵抗をされないぶん。やりやすいか。
琴葉 茜
ひぃっ!
小日本(こにぽん)
気絶したか。ふん。
九州そら
約束が違うぞ?
小日本(こにぽん)
南の魔王か。
九州そら
勇者ちゃんのことは私に任せるはずだったな?
小日本(こにぽん)
勇者ちゃん? とにかくこちらの事情が変わった。

こいつは我らがいただく。
九州そら
それは困ると言ったな?
小日本(こにぽん)
魔王が勇者を守るというのか?

噴飯モノだ。
九州そら
ここで一戦交えるのもいいが、ひとつ私の話を聞いてみないか?
小日本(こにぽん)
今か?
九州そら
後で後悔したくないだろう?
小日本(こにぽん)
含みを持たせるな?
九州そら
そもそも我らが勇者ちゃんと関わった契機、覚えているな?
小日本(こにぽん)
生まれつき使える魔法とやらのことだな。
九州そら
もちろんあれは魔法などという当たり前のものではなかった。
小日本(こにぽん)
ほう、今までの監視でわかったのか?
九州そら
察しがついてるんだろう?

「呪い」だ。それも「外の世界」からの。
小日本(こにぽん)
やはりか。
九州そら
「呪い」を放った主がなにを目的としてかはわからんが、
とてつもなく奇妙なものであるのは間違いない。
小日本(こにぽん)
ふむ、我らが見た限りはなんの害もなさぬようだったが。
九州そら
「呪い」といえど「数式」には違いない。
小日本(こにぽん)
そうだが?
九州そら
もし勇者ちゃんの「呪い」が「数式」でないと言ったら信じるか?
小日本(こにぽん)
ありえない。
「数式」で構成されたもの以外この世界に存在出来ないからな。
生物だろうと器物だろうと。
九州そら
「数式」というのはその名の通りひとつの完結したものだ。
そのひとつひとつが集合して世界を成している。
小日本(こにぽん)
この樹木も「数式」ならこの私も「数式」だ。
「数式」だから世界全体から独立した「個」として成立している。
九州そら
「数式」はそれ自体で完結した存在だ。
仮に別の世界へと移しても個を保ち、存続可能だ。
小日本(こにぽん)
で?
九州そら
「外の世界」に存在するウイルスという物を知ってるか?
小日本(こにぽん)
コンピューターウイルスのことではないのか?
九州そら
いや、生物の……厳密に生物と呼べるかは難しいものなのだがウイルスという生物が存在しているというデータを閲覧したことがある。
小日本(こにぽん)
それで?
九州そら
ウイルスには生殖能力がなくてな、自分らだけでは種の繁殖を行えんのだ。
小日本(こにぽん)
ならどう存続してる?
九州そら
他の生物を利用するのさ。その生物に自らの設計図を送り込み、相手が持つ子を生み出す機能を乗っ取り己の子を作らせる。
小日本(こにぽん)
ふむ、興味深いがそれなんなんだ?
九州そら
コイツに似てるというのさ、あの「呪い」が。
小日本(こにぽん)
どう似てる。
九州そら
あの「呪い」は独立した「数式」として成立していない。
それ単体では無意味な数列に過ぎん。
しかし「宿主」の「数式」に取り憑いた場合は別だ。
小日本(こにぽん)
む……。
九州そら
「宿主」の「数式」の機能によって己の欠落している部分を補完し、本来の活動を開始する。
小日本(こにぽん)
どんなだ。
九州そら
第一に例の空間の濁りだ。
小日本(こにぽん)
あれはまったくの無害だったはずだが。
九州そら
考えてみろ。
濁りとは、不純物が混じることによって生じるのだ。
小日本(こにぽん)
まさか、あれが「呪い」そのものだったのか?
九州そら
そう。

「呪い」単体ではまったく無意味で無害なものに過ぎない。
危険とわかるはずもない。
小日本(こにぽん)
危険……危険と言ったか。
それはいったい?
九州そら
第二に自己増殖。
今までの年月で果たしてどれだけの量の「呪い」が生まれ、
勇者ちゃんの先代勇者との旅でどれほど広範にばらまかれことやら。
小日本(こにぽん)
むむ……。
九州そら
こうなると、もはや勇者ちゃんを消したところでなんの解決にもならないな。
小日本(こにぽん)
それで危険というのはなんなのだ!
九州そら
取引だ。
小日本(こにぽん)
な、んだと。
九州そら
教えて欲しくば、勇者ちゃんから手を引け。
小日本(こにぽん)
言ってる場合か!
九州そら
確約してくれれば、私が知る限りのことを教えよう。
小日本(こにぽん)
くっ……魔王!
九州そら
返答は?
小日本(こにぽん)
…………!

良かろう。魔王の替りは他で探す。
九州そら
言質は取らせてもらった、「O・N・I」の筆頭よ。
小日本(こにぽん)
さあ教えろ、すぐに!
九州そら
生憎、現段階では私も確たる見解を得ていない。
小日本(こにぽん)
な……に?
九州そら
約束通り、「私の知る限り」は以上だ。
小日本(こにぽん)
お前は!
九州そら
まあ、落ち着け。
これだけ凝った仕掛けの「呪い」だ。
生半可なシロモノであるはずがない。
小日本(こにぽん)
それは確かだろうが。
九州そら
今後も勇者ちゃんの監視は続ける。
それで新しい発見があったら教えると約束する。

なら不満はあるまい?
小日本(こにぽん)
……いいだろう。

(本当はもう「呪い」の正体を知っているのでは?)
ついなちゃん
ここにいたか!
小日本(こにぽん)
血相を変えてどうした? 魔王を削除する仕事はどうだった?
ついなちゃん
それどころじゃないんだよ!
ト書き
続く。