『チラチラ』と『スケスケ』のどっちが好きかを聞いた結果、チラチラの圧倒的勝利でした。今回のアンケートは「うなじが覗く結い上げ髪 vs. いつもの黒髪ロング:浴衣といえばどっちの髪型?」です!
浴衣や甚平といった着物は日本人の体型にぴったり。直線を強調される男性向けの浴衣に対し、女性向けの浴衣は後方から見たときの曲線美がその見所です。黒髪ロングを垂らしたままでは、せっかくの骨盤のラインが隠れてしまいますから、浴衣姿の時ばかりは、結い上げ髪が若干有利、かもしれませんね。
突然ですが、いま、浴衣姿のイタコ姉さまの首が、するすると伸びています。
何があったのかというと、諸事情により、ろくろ首さんをイタコパワーで呼び寄せたのです。幽霊が苦手なきりたんは顔を真っ青にして震えています。イタコ姉さまも幽霊が苦手なはずですが、すでに地表から100メートルを超えるところまで打ち上げられてしまっては、その表情は伺うべくもありません。
何事にも動じないのはいいことなのかどうなのか、ずん子は遠くからイタコ姉さまを見上げながら、呑気にそんな声を上げていました。「わあ、さすがイタコ姉さま!」とでも言い出しそうなその表情は、まさに無邪気そのもの。
(イタコさん、小顔だから直径が五号玉よりちょっと大きいくらいのサイズなのよね……。200メートルくらい打ち上がってくれればいいんだけど)(ブツブツ
そして、めたんは何事かを呟きながら、夜空に浮かぶイタコろくろ首の真っ白な顔を、顎の下に手を当てる探偵ポーズで、真剣に見守っています。
夜闇を切り裂いて、真っ直ぐ上空へと舞い上がっていく白い光。少し遅れて聞こえてくる「ヒュルルルルルル……」という残響音。そう。夏の夜の風物詩――「アレ」です。
『どかーん!ヽ(`Д´)ノヽ(`Д´)ノヽ(`Д´)ノですわ! にゃあ!』
\たーまやー!!/
へっ! ……きたねえ『花火』だ……。
――ずん子たち一行は、大曲の全国花火競技大会に来ていました。
(――時は遡って、三日前・東北家――)
そうよ。『今週末――アポカリプス――』に、日本一の花火大会があるの。そこで、創作花火を発表しようと思うんだけど。
――秋田県の『全国花火競技大会』ですね。わたし、混雑は苦手なので今年もテレビで視聴しようと思ってました。
(「いろいろ台無しだよね」って、毎年言ってるんだけどなあ……(;゚∀゚) でも、本当にめたんちゃんが出場するなら、きりたんを家から引きずり出す口実になるかも)
ふふっ。この『漆黒の』めたんがいつまでも下野してると思わないことね……。お家再興のため、この花火大会で存分に『刻印――アピール――』させてもらうわ!
それは楽しみですわね(o'∀'人) どんな花火を打ち上げる予定で……って、ネタバレはよくありませんわね( *´艸`)
だから、それを相談しに来たのよ。
……え!?∑(゚ω゚ノ)ノ まさか、まだノープランなの!?( ゚д゚ )
(――コミケ一週間前に慌てて新刊を作り始める同人作家さんじゃないんですから……。三日で花火なんて、無理に決まってるでしょう……)
大丈夫、問題ないわ。確かに現状は厳しいけれど、大まかな『構想――スクロール――』はすでに頭の中にあるもの。あとはそれを実現していくだけ。さ、頑張りましょう!
(めたんちゃん、相変わらず変な当て字を使うなあ(´・ω・`) まあいいけど……)
――というわけで、なんとか花火を形にするための過酷な日々が始まった――のですが、素人の四人に画期的なアイデアなど出せるはずがなく、あれよあれよと当日を迎えてしまったのです。最後の妥協案の一つ目が、先のイタコ姉さまろくろ首玉でした。
(そこなんだ……(´・ω・`) まあ、今さらイタコ姉さまが爆発したところで驚かないけど……)
――イタコ専門学校首席卒業ですから引く手もあまた。あちこち飛び回ったりして、何だかんだでリア充ですからね、タコねえさま。本当に爆発するリア充は初めて見ましたが。
うーん、協力してもらったイタコさんには悪いけれど、ちょっとインパクト不足の感は否めないわ。もっとこう……『魂――エグザイル――』が揺さぶられるような、たった一玉で観衆の『視線――ハート――』を釘付けにするような、そんな一発が欲しいわね。
(……イタコとはいえ、人間の形をしたものの首が地表200メートルに伸び上がって爆発する光景が「インパクト不足」……(´・ω・`) うん……)
こういう展開になると、最も「一般人に近い(?)」ずん子のできることはほとんどないので、彼女はもっぱらツッコミ役です。彼女はお祭りのために仕立ててあったずんだ色の浴衣をふりふり、足首まである裾を持て余しながら、(´・ω・`)こんな顔をして三人のやり取りを見守っていました。
もちろん、他の三人も浴衣です。どんな外見になっているかはみなさまのご想像にお任せしますが、イタコ姉さまは普段着よりも身体のラインがすらっと見え、きりたんはより禁忌臭が増し、めたんは着せ替え人形のような愛らしさを醸し出しています。
――そういえば、大曲の花火大会にはテーマ花火の部門もあるんですけど。その演目は決まってるんですか?
ふふっ、それなら決まってるわよ。何を隠そう、わたくしが中学二年生の時に記したこの『預言文書――黒歴史ノート――』によれば、今日のテーマは――。
(嫌な予感しかしない(´・ω・`)……)
――『花火少女 まじかる☆めたん』!!(集中線)
ふふふ、設定としてはね、わたくしが通っている学校の教室にテロリストが侵入、武力を誇示して教室中が騒然となったところでずん子が人質に取られるの。あまりの出来事にクラス中が戸惑い、恐怖し、沈黙してしまってね、このままテロリストになされるがままなのか……と誰もが諦めかけたその時!
今まで地味で目立たなかった白ロリの少女がおもむろに立ち上がるの! テロリスト「貴様! 動いたらこの少女がどうなるか……」 白ロリ「ふふっ――まるで児戯。――遅いわね――」 テロリスト「何を言って……なっ、なにっ!? いつの間に人質を……」
――ぐあああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!(ゴロゴロゴロゴロゴロ
もういい! もういいですわめたんさん!。゚ヽ(゚`Д´゚)ノ゚。 分かりましたから! 言いたいことは分かりましたから!
なぜか聞いている側に大ダメージ!
な、なるほど!O(*>▽<*)o つまり今回の創作花火は、魔法少女まじかる☆めたんちゃんの変身シーンの背後で咲き乱れる花火っていう設定なんだね!(*´∀`*)
その通り! さすがずん子、わたくしが脳内設定でピー○姫的ポジションを与えているだけあるわ! ちなみに変身の口上はね、一度聴かせたと思うけど……『――天に十二宮、地に四神。魔を穿ちて闘を断つ――地脈揺すりし輪廻の聖霊』でね? 決めゼリフは……
――わ、分かってます! 分かってますから! ずんねえさまも乗っからないでください!
そ、それだと確かに、ろくろ首花火は似合いませんわね!(;゚∀゚) 『設定は十分、十分に理解しました』から、早く花火を確定させましょう! 始まってしまいますわよ!?
まあ、最近の魔法少女はマミ……いえ、首から上がなくなることも珍しくないようだし……悪くないかなって思ったんだけどね。やっぱり、もう少し王道の魔法少女というか……。
――契約制の魔法少女には夢がありませんからね……。どこかに、コンセプトに合わせた商品をプロデュースする天才がいてくれればいいんですが……。
あ(o'∀'人)、そうですわ。プロデュースと言えばあの人ですわ。
イタコ姉さまがぽん、と手を合わせます。その意味を察したきりたんは嫌そうな顔をしていましたが、ずん子は大賛成です。だって、「前回」、その人を呼んだときには――ずん子がイタコされる側だったので、直接話していないのですから。
……というわけで、協議の結果、この方に相談を仰ぐことにしました!(´>∀<`)ゝ
『ハーイレディース、スティーブ・ジョブ○です。私と一緒に最高の花火体験を共有しましょうにゃあ』
(本名なんだったっけ……(´・ω・`) あと、イタコ姉さまver.だと語尾が変化するから、ちょっとだけオーラが無くなってるような……)
※第3話『世の中には脱がない方がせくしーな衣装も存在する。そう、巫女服のことだね』参照。( http://togetter.com/li/328091 )
『皆様のニーズは把握しています。きっと思い通りのファイアワークスをプロデュースすることができるでしょう。そう、iPh○neならにゃ』
(『プロデュース』……ってどういう意味だったかしら……。確か「創世」の隠語だったような。このジョブ○とかいう幽霊、なかなかの『邪気眼――ソウル――』を持っているのかもしれないわ)
――あ、1発目の花火が打ち上がりました。早くしないと、間に合いませんよ。
と、そんなことを邪推しているうちに、とうとう1発目の花火が打ち上がってしまいました。めたんの順番は7番目ですから、恐らく、30分もしないうちに出番が回ってくるでしょう。
わー! かーぎやー!ヽ(´∀`)ノ
(む……むう……。さすが花火職人さんたち……。付け焼き刃の作品じゃあ敵いそうにないわね……)
次々と打ち上がる美しい花火を見て、めたんの心に焦りが生まれます。一発ごとに無邪気にはしゃぐずん子の姿もそれに輪をかけて、めたんは、縋るような目でジョブ○氏を見上げました。
誰だかよく分からないけど、時代を先取りしすぎて理解されない『芸術家――サクリファイス――』のような作品を創りたいの。後々の教科書に『創始者――プロデューサー――』として掲載されるような、ね。それも一刻も早く!
『にゃるほど。顧客の求めるもの、その1は「サクリファイス――自己犠牲――」だにゃ』
(……あれ?∑(・ω・ノ)ノ なんか、今二人の間で言葉の意味がずれたような……)
『時間がない中でも、最高のパフォーマンスを発揮することができる。もちろん、「アベイラブル――ありあわせ――」のものを使ってね、にゃあ』
(『アベイラブル』? って何かしら? えーと、私の脳内辞典だと……響きとかイントネーション的に、『覚悟――スクランブル――』に近いような……)
そ、そうね! 私にも『覚悟――スクランブル――』の用意はあるわ!
『素晴らしい。アベイラブルな状況の中で自らをサクリファイスして「スクランブル――緊急発進――」する勇気がありなさる。それなら、私は多くの言葉を語らずに帰ることができる、にゃあ』
……………………。
あの~……(´・ω・`)
二人の会話に微妙な違和を感じていたずん子が、おずおずと口を挟みました。だって、どう考えても二人の中でカタカナ文字の意味が違うのです。
めたんちゃん? ちょっと横から失礼するね?(´・ω・`)
なに? 時間がないんだから、手短に……。
「カルチャー」って、どういう意味か分かる?(´・ω・`)
……ずん子、あなたわたくしのことをバカにしてるの? 確かに、英語の得点はそんなに高くないけど、基本的な英単語なら分かるわよ? アポォ。
あー、うん。そうだよね!∑d(゚∀゚d) 私の早とちりだったかも! ごめんね!
『魂――カルチャー――』に決まってるじゃない(ドヤァ
(――横文字が苦手なんですね、めたんさん……。というか、単語自体はたくさん知っていても、自分の脳内にオリジナルの翻訳機が備わっているのでしょう……。さながら「中二病用語-横文字辞書」ですね)
『カルチャーは非常に大切なものだ。社会でも個人でも、カルチャーが欠けていると「ドライ――無味乾燥――」なものになることがある』
分かってるわねえ、ジョブ○さん。『魂――カルチャー――』なき人は『人形――ドライ――』そのものよね。
??(´・ω・`)??
もはや言葉遊びの域です。たまーに、ニュアンスだけを取ればそこまで大ハズレしていない会話が混じるから余計混乱を誘うのです。ずん子ときりたんはもはやツッコミを放棄して、二人のやり取りをハラハラしながら見守ることにしました。
最後に……そうね。わたくし自身も『心躍る――イグニッションする――』作品でないとダメね。
『ふむ。最終的にはあなたに「イグニッション――点火――」しても構わない。……にゃるほど。あなたのイメージする最高の花火体験のパースペクティヴについては把握した。そうであれば、私は今すぐソリューションを提案することができる、にゃあ』
(『ソリューション』……。『黎明――ソリューション――』……? つまり、過去に類を見ない花火時代の幕開けを、わたくしが彩るということ……?)
……ええ。頼んだわよ!
めたんは瞳を輝かせて身を乗り出します。ジョブ○氏(in イタコ姉さま)と彼女では、少しばかり身長差がありますので、ぴょこぴょこ跳ねるような格好になっていますが。ジョブ○氏も自身のプレゼンの良き聴衆であるめたんを前に、鼻高々です。
『では、最後にもう一度条件を確認なさる。現状はアベイラブルな中で、自らをサクリファイスしてイグニッションし、スクランブルするのが、あなたの考える最高の花火体験に違いないにゃ』
ええ。観衆に心躍る花火を見せつけて、伝説の芸術家――「花火少女まじかる☆めたん」――として、自らの名を残す覚悟はあるわ。
(ああ、何となくオチが予想できる……(´・ω・`) というか、この条件でのソリューションって一つしかないんじゃ……)
しかし、大興奮のめたん本人はその誤差に全く気付いていません。もちろん、彼女の中二用語を普通の英語として受け取っているジョブ○氏も同様です。観衆と一体になった全く新しいプレゼン体験を提供するジョブ○氏は、まさにいま、顧客とともにプレゼンを作り上げているのです。
ふふっ……。まさか本当になんとかなるとはね……。あなたたちに相談して良かったわ。
う、うん……(´・ω・`) 先に謝っておいた方がいいかな……。でも、めたんちゃんがお客さんに謝る方が先かな……。
口元に浮かぶ笑みを隠しきれないめたんを前に、ずん子が「真実」を告げるかどうか迷っていると――会場の方から「『漆黒の』めたんさーん、出番ですよー」という声が聞こえてきました。
『時間が来たようだね。……もっとも、私が提案できる答えは実にシンプルで、みなさんの周りに既に用意されていたものの応用だ。――やはり、ヒーローである君自身が「イグニッション――点火――」されるに限る。にゃあ』
なるほど!
『そう。これからは君が、君たちが、「花火」なのだ! にゃあ』
その通りよ! 俺が! 俺たちが! ガンd…………えっ!?
ジョブ○氏の回答は、ある意味では予想どおり、しかしめたんにとっては、予想外のものでした。iPh○neのような時代を革新するアイデアの登場に期待していためたんでしたが、呆気にとられてつい、「素」の声を出してしまいます。
『君の意見を総合した結果だにゃあ』
(まあ、こうなるよね……(´・ω・`) (´・ω・`)←この顔疲れてきたなあ……)
いや……え? あれ? わたくし、どこかで間違えたかしら?
『では、私はこれで失礼する。最高の主役体験を、あなたに、にゃあ』
……よっしゃ! 戻りましたわ!(バッ ジョブ○氏の言うとおりですわ! あたしが打ち上がってめたんさんが打ち上がらない法はありませんもの!(`・ω・´)
――じゃ、背中の「きりたん砲」も温まりましたし、わたしが打ち上げますねー。めたんさん自身が火薬の塊みたいなものですから、点火すれば勝手に爆発するでしょう。
え、あ、ちょ……。ずん子! 止めてぇ!
ひぃやあああぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!??ザン○ット3いいいいいぃぃぃぃ!!??(ヒュルルルルルル……
ヒュルルルルルル……という甲高い音とともに、メタンハイドレートが燃焼し青白く発光。美しい軌跡を夜空に描きます。めたん自身が白系統の浴衣を着ていることもあり、大空に舞うその姿はまるで、空に降臨したクリオネのようでした。
もう! タダでは転ばないわ! 『――天に十二宮、地に四し……』あ、ダメだこれ尺が足りない! 花火だけに!
花火は地表を打ち上がってから、長くても10秒程度で爆発します。めたんの前口上を言い切るには、ちょっと短すぎますね。
……『新刊――新花火――』落としましたああああああぁぁぁぁぁぁぁっ!!(チュドーン
\たーまやー!!ヽ(≧▽≦)ノ/
――その後、落ちてきためたんをずん子がお姫様だっこでキャッチ。失意の彼女は帰り道の渋滞に巻き込まれてイライラゲージがMAXに到達し、もう一度自身に着火して秋田県内を空から飛び出しますが――それはまた、別のお話。
――おわり―― (※今回もアンケートがありますー! 「うなじが覗く結い上げ髪 vs. いつもの黒髪ロング:浴衣といえばどっちの髪型?」でございます! まとめのコメント欄にて募集中! よろしくお願いします!)
次回はこちら http://inove.jp/ivsid1406









