俺たちの鳥取――日本で唯一スタバがない県――
2013年、つまり来年の3月に『島根県』にスターバックスコーヒーがオープンすることとなりました。これにより、鳥取県は全国で唯一スタバがない県となってしまったのです!『最寄りのスタバは羽田空港のスタバ』と言われる鳥取県ですが、果たして羽田空港のスタバと島根県のスタバのどっちが近いのか、要検証です!
放課後、部活の時間になりました。ずん子たちが準備している弓道場の扉を閉めながら、きりたんが入ってきます。彼女の小さな身体で山頂にある弓道場に通うのはしんどいのか、きりたんはかばん類を置くと、「よっこらせ」と、オヤジくさい掛け声とともに床にへたり込みました。
ふふっ。『賭け――キル・オア・ダイ――』をしてたのよ。きりたんさんとそら、どっちが先に来るかって。
――そういえば、そらさんも掃除当番だって言ってましたね。で、何を賭けたんです?
のわっ!?(´゚ω゚)・*;'.、ブッ 反応するポイントおかしくない!? きりたんステイ! ステイ!
――これが落ち着いていられますか!? 賭けに負けたってことはずんねえさまが何らかの『初めて』をめたんさんに捧げるということでそれはつまりわたしがその『初めて』をいただけないということを意味するわけですよ!?これが落ち着いていられますか!?
普段から小声の彼女の身体のどこにこんな声量が備わっていたのでしょうか。山頂で大声を出したせいで、どこかから\これが落ち着いていられますか!?/\……これが落ち着いていられますか!?/と、山びこが返ってきます。
――それで、いったい……。
「何の初めてを賭けたんですか」と、きりたんがそう言いかけた時でした。
――ばたーん!!
弓道場――ずん子たちの部室の扉が豪快な音を立てて開きます。普通なら、そのあとには威勢のよい声が続くものですが――聞こえてきたのは、蚊の鳴くような小さな声と、そして。
――ぽわー! もう! 騒がしいですね! いまそれどころじゃないんですって!
砂!? 砂にも弱いのそらちゃん!?∑(゚ω゚ノ)ノ
ばちこーん。温泉回( http://togetter.com/li/375904 )のようにパージされたそらさんの全身が弓道場中に飛び散ります。当時とは違って、今回は破らないようにそらさんが服を脱ぐ場面が追加されていたのですが、切迫していたためにお伝えすることができませんでした。
ずん子、めたん、きりたんの目が、道場の正面に立っている小さな女の子に注がれます。といっても、きりたんよりは大きいので、14歳くらいでしょうか。全体的に起伏の乏しい身体は、巫女服を着込んでいてもかなり薄く見えますが――幸も薄そうな雰囲気です。
……………………違う。探しに来た。ある人を、匂いを追って。いなければそれでいい。ちょっと、失礼する(スッ
そう言うと、彼女は手にぶら下げたうさぎを床に落として、瞳を閉じました。そして、巫女服の襟をめくってちらりと鎖骨を覗かせたかと思うと――素早く「幣」を取り出して、ずん子たちの眼前で舞い始めます。
彼女の舞に合わせて、ずん子たちの内に秘めた妖力もまた、目覚めていきます。勝手に、彼女たちの身体から金色の球体が漏れ出したかと思うと、その一部が、巫女装束の少女の方へと移ろって――。
させませんわ!ヽ(`Д´)ノ
――しかし、そこまででした。道場の入口から唐突に現れたイタコ姉さまが、息を切らしながら印を切り、奪われかけたずん子たちの妖力をはたき落としたのです。背中から不意を打たれた巫女の少女は、ほんの少しだけ驚いたような表情を作ると、床に置いたぬいぐるみを拾い上げました。
……………………見つけた。一人目。ありがとう、自分から妖力を使ってくれて。
イタコさん、知り合いなの? まあ確かに、巫女とイタコは『禁じられた運命の共同体――親戚――』みたいなものよね。
――え?
……………………こちらの方角から、中国地方まで、りんごが飛んできた。りんごには妖力が宿っていた。妖力の濫用は危険。だから、少し吸い上げて、あのりんごを吹き飛ばしたのは誰の妖力か確かめようとしただけ。――あなたの他に、もう一人の妖力が混じっていたはず。その人は、ここにいる?
中国うさぎ!(`ω´) 勝負ですわ!
りんごと言えば、前話( http://togetter.com/li/399454 )で、イタコ姉さまの頭に生えたりんごを「ずんだアロー」で吹っ飛ばしたときのアレです。少女――うさぎの雰囲気から並々ならぬものを感じたイタコ姉さまは、ずん子を庇うようにして、彼女に詰め寄りました。
……………………勝負? わたしは……。
ずん子を狙わせないためのわざとらしい挑発でしたが、うさぎには効果があったようです。巫女服の少女は、ずん子たちの前に立ちはだかったイタコ姉さまを見て、初めてはっきりとした表情を浮かべました。
……………………分かった。なら、しかたない。
「しかたない」……? それに今の表情……って、うおあ!∑(゚◇゚ノ)ノ
うさぎの言葉に引っかかりを感じたずん子が尋ね返そうとしますが、目の前に立っていたイタコ姉さまのお尻から七本の尻尾がバサッと飛び出してきたので、慌ててその場を飛び退きます。
下がってなさい、ずんちゃん。
七尾の開放に続くようにして、イタコ姉さまの全身から銀色の妖気が立ちこめます。妖気は姉さまを包むようにして膨らんだかと思うと、徐々に収縮し、変形して――一匹の巨大なキツネの姿になりました。
(うん。そんな技ないよね( ゚ω゚;)……)
めたんがオリジナル設定を垂れ流している間も、イタコ姉さまの召霊した妖狐は、彼女の三倍以上の大きさの顔をうさぎに向けて、威嚇しています。もっとも、肝心のうさぎは表情一つ変えていませんが。
巫女服の少女は長い前髪で表情を隠したまま、深い溜息を一つつくと――手に握っていたうさぎのぬいぐるみを床板にとすんと落とし、改めて、幣を振りました。
わあ……( ゚∀゚;)タラー
――兎ですね。同じくらいの大きさの。
……………………一切よ。無辺の浄土に降れ。悪しき力を清めなさい。
少女が何事かを呟くと、イタコ姉さまの妖狐と同じサイズにまで膨れあがった妖気の兎が、二本脚で立ち上がります。どうも、兎はモチーフにすぎないのであって――少女は、イメージしたとおりに、自在に、妖力を操れるようでした。その証拠に、妖兎の手には、なんと。
ちょ、兎が弓を射るの!?∑(o'д'o) しかも三本まとめて!?
どんどん発想が追いつかなくなっているめたんの創作設定とは逆に、イタコ姉さまと少女の戦いはヒートアップしていました。うさぎに負けじと、巨大な妖狐を自在に繰るイタコ姉さまが身のこなしも軽く、三本の矢の間隙を縫います。ちなみに、流れ弾は弓道場の床板を破壊しましたが。
はあっ!ヽ(`Д´)ノ ですわ!
キツネといえば幻術。イタコ姉さまが全身の毛を逆立てて気合を入れると、妖狐が一気に七匹に分裂しました。分裂したキツネたちが、獲物を狙う目で一斉に兎に襲いかかります。
――しかし、水平面に逃げ場がないと悟るや、妖兎はその強靱な後ろ足で一気に跳躍。まるで空中に大地があるかのように上へ上へと駆けていき、超高高度から、彗星のように落下してきます。
エネルギーの集合体に、落下による運動エネルギーが付加されるのかは分かりません。しかし、鮮やかな紅色の尾を引いて天から降ってきた一筋の赤い『矢』は、空中で三つ叉に分裂し、幻術で分身した妖狐のうち三体を貫いたのでした。
(――あれ、何この展開)
編集者が変わったジャ○プマンガのような展開に戸惑っているのはきりたんだけでした。戦っている二人と気絶しているそらさんはもとより、めたんは繰り出される技に夢中ですし、ずん子は弓道場のダメージが気になって、それどころではありません。
(――めたんさんは英語の語彙を増やした方がいいんじゃ……)
呑気に見学している二人の少女の傍らで、しかし、ずん子は気が気ではありません。
ヒ、ヒィ────(ノ)゚Д゚(ヽ)────!! 火は! 火はヤバイですイタコ姉さまー!!
「ヒー、ヒー、ヒーヒーヒーヒーヒー」という感じで、妖狐の七尾に一本ずつ、狐火が宿っていきます。あれが妖力の塊なのか、本当の炎なのかは分かりませんが――木造の弓道場ですから、真偽を確かめている余裕など、ありませんでした。
……………………っ!?
唐突に割り込んできたずん子を、イタコ姉さまが静止します。全身から妖気を開放しているうさぎも、どうしてか慌てて「視線」を逸らしますが――一瞬だけ、遅かったようです。
――さらっ。
え……(`・д´・;) なんか身体がスースーするよう……な……( ゚д゚ )
顔を真っ赤にしてその場に座り込むずん子ですが、その白く滑らかな肩とか、スレンダーな身体のラインまでは隠せません。イタコ姉さまがすぐに自分の着物を一枚脱いで彼女に渡しましたが、もう少し遅ければ、さらなる被害(きりたんの出血多量)が待っていたことでしょう。
うさぎは固く目を閉じたまま自分の周囲に手をまさぐらせると、先ほど床に置いたうさぎのぬいぐるみを拾い上げて――思い切り、顔を埋めました。長い髪とぬいぐるみに遮られて表情はよく見えませんが、彼女の肩は小刻みに震えていて、何かに怯えているかのようです。
ぬいぐるみを引きずって帰ろうとするうさぎを呼び止めて、ずん子は彼女のためにお茶を用意します。もちろん、ずんだを使ったお茶菓子――「ずんだきびだんご」も。
――は!? 「はじめて」ってずんだきびだんごのことだったんですか!? んなバカな!?
騒がしい外野をよそに、まんまと呼び止められてしまったうさぎが、ちびちびとお茶を口に運んでいます。そして、ずん子お手製のきびだんごにも、遠慮がちに手を伸ばし――その小さな口で、一口、かじりました。
……ん?(´・ω・`)
イタコ姉さまが慌てて静止しますが、弓道場の出口に向かううさぎの足取りは速く、あっという間に、見えなくなってしまいました。人間離れした――野ウサギのような速度だったので、恐らく、妖力によって推力を高めていたのでしょう。
あとに残ったのは、ぽかーんと口を開けている四人の少女と、全身がバラバラになってすやすや眠っている一体のアンドロイド。そして――。
イタコ姉さまの言うとおりです。ずん子は最後に少女が見せた怯えた様子と、ずんだきびだんごを食べたときの表情を思い出して、複雑な思いに囚われていました。
――その後、ずん子たちが翌日に弓道場に来てみると、不思議なことに壊れた床板や扉が元通りに修繕されておりましたが――それはまた、別のお話。
――おわり――
【お知らせ】「東北ずん子」のiPhoneゲームが登場しました! ぜひ一度遊んでみてくださいね!( https://t.co/C7z355Tk )
今回のお話では、togetterまとめにて『感想』や『アナタの県のトリビア』を募集いたします!頂いたトリビアは、47都道府県のステージがあるiPhoneゲーム「東北ずん子」内にて、イタコ姉さまやきりたんが紹介させていただく予定です!次回のアップデートをおたのしみに!
次回はこちら http://inove.jp/ivsid1417



























