扉の君「一周年記念パーティーか」(後編)
前回のあらすじだ!
…と行きたいが、俺は吹き飛んでいった他の連中が何をしているかなんて知らない。
ちなみに俺は今塔の最上階にいる。
あの爆発で吹き飛んだが、自力で帰ってきたんだ。
自力じゃないだろ。
嘘だ。自力じゃなかった。
礼を言うぞ佐川急便。
「ジンソク」な。宅配便やってるのは否定しないがせめて名前で呼んでくれ。
ジンソク急便。
それでいいや。
じゃ、俺は届け物がまだまだあるから、じゃあな。
気をつけろよ。
………さて、これからどうすればいいんだ。
これからどうすればいいんだ。
これからどうしたらよいのか…
!?誰だお前は!
観測者クロノスだ。こっちは猫のグリュプス。
本来なら今頃、ここで扉の君と竜王たちが戦ってたはずなんだが…
…全員飛んでいった。
飛んで行った!?
なるほど、把握した。
何をどう把握したんだクロノス…
ふむ…彼らを探しに出たほうがいいかもしれない。
どこに飛んで行ったかは正直わからん。手当たり次第に探すしかないだろう。
俺はここで待ってる(玉座に着席)
手当たり次第に探すしかないか。私はここで待っている。(体育座り)
…俺に探せと。
よろしく。
少しは動けよ!普段から家に籠りっきりだろ!太るぞ!
母親か?
母親じゃないけどさ!
しょうがねえなあじゃあ俺が探してくるよ…!
ちょろいな。
ちょろいだろう。
一方その頃竜王たちは…
あふぁぁぁ…めがねぇ…
!ノア!あそこにヤシロさんが!
おお、ヤシロ!無事だったか!?
す、姿はよくわからないけど、その声は竜王…?
無事だけど、全然無事じゃない。
眼鏡が!
そう、眼鏡がなくなったんだ。
吹っ飛んだときに、どこか行っちゃったとか?
い、いや、そうじゃない。盗まれたんだ!
事件だな!
誰に盗まれたの?
悪戯王と、獣に!
おのれ悪戯王、よくもヤシロの眼鏡を!
獣?
猫耳が生えていたから、きっと猫だよ。
悪戯王ってペット飼ってたっけ?
飼ってるかもしれないぞ。
猫なら誰でも飼ってそう。
それもそうか~…
眼鏡がないと道もロクに歩けない…早く見つけないと…
私の手を握って。目の代わりになる。
か、カナン…なんて優しい孫だ…やはり私の自慢の孫だ…!
…裸になること以外は!
裸ァ!?
悪戯王を探さないとね。
どの方角に逃げて行ったか分かるか?
眼鏡が無いんだよ?見えると思う?
あー…
でも、鼻があるからね。匂いを辿れば行先は大体わかるよ。
すごい、さすが獣…!
くんくんくんくん…
あ、そこ、段差に気をつけて。
ほあっ!?
竜王たちは匂いを辿り、歩き始めた。
数十分後。
…先ほど神主狐様と出くわした場所に、戻ってきてしまいましたが…
ブラジャーからのオーラを辿ったらここに辿り着いたよ。
…変態にしか聞こえませんね。
僕だって今のセリフ、好きで言ったわけじゃないよ!
うーん、犯人はもしかしたらヤシロと合流したかもしれないねえ。
厄介でございますね…
大丈夫だよ、片方は眼鏡ないんだし。
そうでございますね。
オーラはあっちのほうに続いてるみたいだ。行こうか。
数分後。
なんか、私の湖に着いちゃったね。
匂いがするから、悪戯王たちはここを通って行ったかもしれないね。
ちょうどよかった。ブラジャー取ってくる。
もうブラジャー忘れるんじゃないぞ、カナン!
ギャーーーーー!!!!人が死んでる!
扉の君だ。私が倒したのだ。
…あ、そういえば倒したんだっけ…
でも、おかしい。
え、何が?
さっきおばあちゃんが殺…倒したときは、目を開けたまま死んでいた。
でも、今は目を閉じている…
…本当だ。
ヤシロさんは、「悪戯王がここを通過していったかもしれない」といった。
おそらく、目を閉じさせたのは悪戯王…
この死体を見た可能性がある。
でもそれ、あんまり問題ないんじゃ?
ああ、あと、私のブラジャーがなくなっていた。
ブラジャーが!?ちゃんと周りを探したか?
探したけど無かった…木の枝にかけておいたんだけど。
見たところ、自然に落ちたとか、飛んで行ったとかじゃないみたい。誰かに盗まれた形跡があった。
ブラジャーをひっかけてた枝が不自然に折れていたから…
わ、私の愛する孫娘の、ブ、ブラジャーを盗むとは……許さん!!
悪戯王を探し出して十六裂きにしてやる!
お、竜王たちがいる。
おーい!聞こえるかー!
おお、天上獣!
クロノスとエビルアーサーがお前らを探してたぞ。
二人とも塔にいる、早く戻ってやれ。
すまない、今すぐには戻れないんだ!
ヤシロの眼鏡とカナンのブラジャーと悪戯王を探しているんだ!
落とし物ばっかじゃねーか!!
全部盗まれたものだ!
眼鏡はともかくブラジャーって……
すまないが悪戯王を探すのを手伝ってくれないか!
見つけ次第生け捕りにしてくれると助かる!
い、生け捕り?分かった、探してくる。
僕をお呼びかい?
探すまでもなかった!
!!探していたぞ悪戯王!!覚悟しろ!!!!!
竜王、渾身の右ストレート!
ぐええ!?いくら敵だからっていきなり襲いかかることはないだろ!
貴様!!!カナンの!!!ブラジャーを!!!返せ!!!
あら、ブラジャーをお探しで?
?なんだその兎は?
ああー!!僕の眼鏡を盗んだ獣の声と同じだー!
失礼な。私は妖精でございます。
このウサミミは飾りでございます。
それより、ブラジャーをお探しでしたね?こちらにございます。どうぞお受け取りください。
貴様が盗んだのか?
いえ、とんでもない!あのような場所に下着が放置されていてはいけないと、拾って持ち主を探していたのでございます。
そうなの?
そうでございますとも。
あの悪戯王が盗んだのではないのだな?
そうでございますとも。
ですので、ブラジャーの件で責めるのはおやめにしてほしいのですが。
(いいぞー!コスモいいぞー!)
むう……お前の好意に免じてブラジャーの件では許してやろう……
(サンキューコスモ……!)
(ウサミミのお礼でございます)
だがブラジャー以前に、こいつとは因縁があるのだ!
……あ。
こいつを倒すぞ!今すぐに!
流石にそこまではフォローできませんので私はここで失礼いたします。
ええーっ、ちょっ、逃げるの!?
逃がすかー!僕の眼鏡を返せ!
はいはい返しますから(ぽいっ)
トンズラをこかせていただきます。
ああっ眼鏡!お帰り!
多勢に無勢だから僕も逃げるか!
逃がすか!
鬱陶しいんだよこの犬っころ!
猫だ!!!!!
いいぞ天上獣、そのまま押さえてろ!
ヴィヴィアン、剣を貸してくれ!
え?剣?……いいけど。
うおおおおおおおーーーーーー!!!!!!!!!
竜王、流れるような美しいフォームで、聖剣を投げた!
そのまま悪戯王に突き刺さる!
ギャアアアアーーーーッッッッッ!!!!!!!
トドメだーーーー!!!!!
神主狐のクズノハ・カムイが火を噴く!
うおおおおおおおーーーーーー!!!!!!!!!
あああああああああーーーーーーーーっつうううううううい!!!!!!!!!!!!!!!!!
悪戯王、火を消すためか、湖へダイブ!
重石を乗せておこう。
その真上からカナンが大岩を投げ入れる!沈む悪戯王!這い上がれない!
かくして戦いは、あっという間に終了してしまったのだった……
ナイス重石だったぞ、カナン!
……湖の底に悪戯王が沈んでるのはちょっと嫌なんだけど……まあ、倒したからいいかな……
おいおいまだ戦いは終わってないだろ。エビルアーサーはどうするんだよ?
ああっそうだ!アーサーを元に戻さなきゃ!
確か、塔にいるんだっけ?
そうだ。早く塔に戻るぞ!
竜王一行は塔へと向かった。
一時間後。
うわー、もう夕方だよー。
昼前から戦っていたが、まさかこんなに長引くとは!
チェック。
何だと!?
チェックだ。
これで十連敗かよ……!
腕は悪くないんだがね、詰めが甘いよ。
チェスやってる……
おーい、連れてきたぞー。
おお、来たか。待ちくたびれたぞ。
ロキと扉の君はどうした?
彼らは私たちがもう倒した。
は!?
あとはお前を何とかするだけだ。
俺を倒しにきたのか?
いや、アーサーはできることなら戦わずに元に戻したいと思ってたんだけど。
元に戻れと?
……元って何だったか?
思い出せ!お前は堕王ではない!聖王だ!
そうだよ!思い出して!
……?そうだったっけ?
だめだ、覚えてない。
斜め45°から叩いてみたらどうかな?
そんな、壊れかけた家電じゃあるまいし……!
えいっ(バシッ)
カナン!?
フオアッ!?
俺は一体……
戻っただと!?
こっちの件もあっさり解決しちゃったね…
ここは?どこだ?聖なる扉は?黄昏の審判は?
全部終わったよ、アーサー。
終わった…?
一件落着ってとこだね。
さあ、これからどうしようか。
帰るかあ〜…
いや、せっかくだから、打ち上げでもしないか?
打ち上げか、私も参加していいのか?
もちろんだ!
う、打ち上げ!?
扉の君と悪戯王を倒し、聖王が元に戻った記念に。
焼肉にしないか、焼肉。
私も焼肉食べたい…!
カナンも今日はよく頑張ってくれた!骨付きカルビを奢ってやるぞ!
おばあちゃんだいすき!!!
グリュプスは肉は大丈夫だったか?
獣はむしろ肉しか食べねえよ。
あ、ごめん…僕は家で妻が待ってるから、帰らなくちゃいけないんだ。
あー、そっかー。
早く帰って顔を見せてあげてくれ、きっと喜ぶぞ。
お気遣い感謝します。それでは!
扉の神は打ち破られ、黄昏の審判は幕を閉じた。
入口を賭けた戦いは終わったが、入口があれば出口もある。
出口を賭けた戦いは、一体どうなるのだろう…
答えは神すらも知らない結果になるかもしれない。
しかし今は、予測できない未来のことは考えず、目の前のことを考えよう。
束の間の休息を存分に楽しもうではないか…
責務を果たした竜王達は、焼肉屋への道を歩き始めた。
………………さて。
死んだふりはここまでにしておこうか…