部下の進言を聞き入れ金も出す戦隊の敵組織は割とホワイト企業――東北ずん子小説魔法少女編:第12話
いたいけな少年少女を最前線に配置せざるをえない味方組織に比べ、幹部クラスになれば作戦立案の自由やそれなりの休暇が認められる敵組織の方が組織としてしっかりしていそうだったりしますね。いや一般戦闘員にはあまりなりたくありませんが……。
(――東北家・ずん子の部屋――)
めたんちゃん大丈夫……?(´;ω;`)。
いつも野宿しているめたんが、ずん子のベッドを借り、普通のパジャマを着ています。
どうやら、風邪を引いてしまったようです。
どうやら、風邪を引いてしまったようです。
……………………四国家、いや漆黒家の家宝がショボかったことも響いているのだろう。
病は気から。あれでガックリきたと考えるのが自然。
病は気から。あれでガックリきたと考えるのが自然。
そうです。めたんはつい先日、400年間受け継がれてきた「四国家の家宝(財産価値459円)」を入手し、変身に成功したのでした。
その変身アイテム「四ツ葉十字」は、今もめたんの枕元に置かれています。
その変身アイテム「四ツ葉十字」は、今もめたんの枕元に置かれています。
『とにかく、病院に行かれた方がいいですよー。
まーくつーは診断はできてもぉ、お薬の処方箋は出せませんから~(汗)』
まーくつーは診断はできてもぉ、お薬の処方箋は出せませんから~(汗)』
や、大丈夫よ。
この程度の『呪い』なら、自力で振り切るわ。
お金ももったいないし……。
この程度の『呪い』なら、自力で振り切るわ。
お金ももったいないし……。
……………………どれ、お財布を拝見……って、三千円あるけど。
でも、今回は緊急事態だし……(´ω`;)
いいから!
この『セーブポイント―ベッド―』を貸してくれるだけで十分よ。
この『セーブポイント―ベッド―』を貸してくれるだけで十分よ。
う、うん……(´・ω・`)
(――東北家・玄関前――)
とは言われたものの、放っておけないよねえ(;´・ω・)
『もちろん、そのつもりでインプットしてきてありますよ~♪
風邪といっても、こじらせると大変ですからね~(汗)』
風邪といっても、こじらせると大変ですからね~(汗)』
半ばめたんに部屋を追い出される形になったずん子たちですが、やはり友人の具合を気にしていました。
現物を持っていけばさすがに拒まれないだろうということで、彼女たちは一路、病院へ向かうことにしたようです。
現物を持っていけばさすがに拒まれないだろうということで、彼女たちは一路、病院へ向かうことにしたようです。
(はぁ……。やっぱり余計なことを……)
――と。そんな一行を、蒼い目が影から見つめていました。
そう、めたんです。
そう、めたんです。
(まったく……。
前例からして、絶対に余計な気を利かすと思ったのよね。ここは一つ、バーンと強く言いつけて……)
前例からして、絶対に余計な気を利かすと思ったのよね。ここは一つ、バーンと強く言いつけて……)
げっ!?
貴女……沖縄あわも!?
貴女……沖縄あわも!?
風邪だと聞いてお見舞いに来てみれば……。
病人なんだから、他人の好意には素直に甘えればいいのに。
はい、のど飴。
病人なんだから、他人の好意には素直に甘えればいいのに。
はい、のど飴。
あ、貴女には関係ないでしょう。
(……そうでもないんだな、これが)
のど飴を口に放り込んでいためたんは、あわもの意味ありげな笑みに気付かなかったようでした。
そうこうしているうちにずいぶん距離が開いてしまったずん子たちとの間を詰めるため、めたんは尾行を再開します。
そうこうしているうちにずいぶん距離が開いてしまったずん子たちとの間を詰めるため、めたんは尾行を再開します。
はーい。
(――約一時間後、薬局前――)
……………………千円もしなかった。保険は偉大。
おっ、出てきたじゃん。
もう薬買っちゃったみたいだし、とっとと会いに行っちゃえばー?
もう薬買っちゃったみたいだし、とっとと会いに行っちゃえばー?
そらの診断が的確だったのか、ずん子たちはさほど苦労せずに薬を入手してしまいました。
あと数十分も経てば、めたんがいる(はずの)東北家に戻ってくるでしょう。
あと数十分も経てば、めたんがいる(はずの)東北家に戻ってくるでしょう。
余計なお世話よ。
というか、なんで貴女までついてきてるのよ……。
というか、なんで貴女までついてきてるのよ……。
本当に意固地だねえ。
ずん子ちんたち、路地裏を使ってショートカットしながら帰るみたいだから、急がないと出て行くタイミングを逃しちゃうぞ。
ずん子ちんたち、路地裏を使ってショートカットしながら帰るみたいだから、急がないと出て行くタイミングを逃しちゃうぞ。
何よ、その口ぶり。
まるで『全知の者―経験者―』みたいな……。
まるで『全知の者―経験者―』みたいな……。
露骨に話を逸らさなくても……って、は!?
路地裏に入っていったずん子たちを指差して、あわもが大声を出します。
めたんは、それを都合の悪いことをごまかすための演技だと考えたようですが――意外にも、本当にトラブルに巻き込まれていました。
めたんは、それを都合の悪いことをごまかすための演技だと考えたようですが――意外にも、本当にトラブルに巻き込まれていました。
ふ、ふっふっふ……。
ここがこの『ツインスター』の縄張りと知っての言葉か? ん?
ここがこの『ツインスター』の縄張りと知っての言葉か? ん?
へへへ……。やっちまいましょうぜ親方!
「…………」(ズモモモモ
通り抜けられるはずの路地裏の真ん中に、何やら巨大な塊が鎮座しています。
その周りには、いかにもガラの悪い二人組がヤクザ座りをしていました。
その周りには、いかにもガラの悪い二人組がヤクザ座りをしていました。
やー、すいません(;゚∀゚) ちょっと急いでたんで。
そういうことなら、別の道から帰りますので!
そういうことなら、別の道から帰りますので!
ふっふっふ……。
「ちょっと急いでたんで」で話が通じれば俺たちはいらないんだな、これが。
縄張りを荒らしたからには、相応の代価を払ってもらわにゃあな!
「ちょっと急いでたんで」で話が通じれば俺たちはいらないんだな、これが。
縄張りを荒らしたからには、相応の代価を払ってもらわにゃあな!
『いやいやいや~。
というかぁ、これは普通に犯罪行為では~?』
というかぁ、これは普通に犯罪行為では~?』
えっ!?∑(゚ω゚ノ)ノ
二人とも、そんなに事を荒立てなくても……。
二人とも、そんなに事を荒立てなくても……。
『まあまあ。ちょっと浮いていただくだけですから~♪』
にこやかに、そらが「反重力装置」を作動させます。
うさぎも自らの力を制御しているぬいぐるみ「いなば」を地面に置いて、相手の衣装を砂にすべく睨み付けました。
うさぎも自らの力を制御しているぬいぐるみ「いなば」を地面に置いて、相手の衣装を砂にすべく睨み付けました。
(……なんでこう、トラブルが絶えないのかしら。あの子たちの周りって……)
(まあ、あの二人もあの二人なりに焦ってるんだろうねえ。
「早くめたんちんに薬を届けなきゃ!」って)
「早くめたんちんに薬を届けなきゃ!」って)
(…………)
めたんがこそばゆそうに溜息をつきます。
まあ、彼女たちならやりすぎることもないだろうと、ある意味で信頼しているようでしたが――
まあ、彼女たちならやりすぎることもないだろうと、ある意味で信頼しているようでしたが――
(……えっ?)
ずん子の悲鳴で、我に帰ったようでした。
『あ、あら~? ご主ずんさまが浮いてますね~?』
ちょっとー!
冷静に状況分析するのはいいけど、被害に遭ってるの私なんだけど!?。・ ゚・。* 。 +゚。・。* ゚ + 。・゚・(ノД`)
冷静に状況分析するのはいいけど、被害に遭ってるの私なんだけど!?。・ ゚・。* 。 +゚。・。* ゚ + 。・゚・(ノД`)
「……………………」(ズモモモモモ
ふっふっふ……。
道をふさいでいるこの巨大兵器は、どんな攻撃も無力化するアンチスキルシステムなのだよ。
道をふさいでいるこの巨大兵器は、どんな攻撃も無力化するアンチスキルシステムなのだよ。
『学園○市じゃないんですから……(汗)』
……………………しかし参った。
ずんだの人が下着姿では、今さら公道を歩くわけにもいかないし。
ずんだの人が下着姿では、今さら公道を歩くわけにもいかないし。
へっへっへ。
大人しく金目のものを出せば、通してやらんこともないでんがな。
大人しく金目のものを出せば、通してやらんこともないでんがな。
……………………金目のもの。
巫女は質素倹約が旨だから、特にない。
巫女は質素倹約が旨だから、特にない。
『ちなみにまーくつーは一体ン千万かかってますよ~♪
まあ、売りさばく方法がないと思いますけど~(汗)』
まあ、売りさばく方法がないと思いますけど~(汗)』
ふっふっふ。
…………バカにしてるな?
…………バカにしてるな?
いやいやいや!
本当においしいんですよずんだ餅!∑(゚◇゚ノ)ノ
一度食べてみてくださいよ! 一度!
本当においしいんですよずんだ餅!∑(゚◇゚ノ)ノ
一度食べてみてくださいよ! 一度!
キレ気味の相手に向かって、ずん子が空中から必死にずんだ餅を推薦します。
妙に平和なやり取りですが、状況は深刻かもしれません。
妙に平和なやり取りですが、状況は深刻かもしれません。
(あー。やばいねー。ピンチだねー)
(……………………)
(……って、あり?)
何やらうさんくさいことを言っているあわもの隣から、めたんが忽然と姿を消しました。
風邪を引いているとは思えない身のこなしです。
風邪を引いているとは思えない身のこなしです。
へっへっへ。金目のものがないなら、ウチの店で皿洗いのバイトでもやってもらわなアカンなー。
うう……。
そらちゃん、うさぎちゃん!
私を置いて早くめたんちゃんに薬を!ヽ(`Д´)ノ
そらちゃん、うさぎちゃん!
私を置いて早くめたんちゃんに薬を!ヽ(`Д´)ノ
……………………わたしも残る。あなたは先に行って。
にじり寄る路地裏の主を前に、ずん子たちがフラグめいたやり取りを交わしています。
このまま二人で皿洗いの刑かと、ずん子とうさぎが諦めかけたところに――、
このまま二人で皿洗いの刑かと、ずん子とうさぎが諦めかけたところに――、
……………………!?
め、めたんちゃん!?∑(゚д゚;)
ようやく――声を枯らしためたんが、大きなドリルを持って現れたのでした。
やっと来たか……。
全く焦らしてくれる。
これで、我々の役目も終わりだな。
全く焦らしてくれる。
これで、我々の役目も終わりだな。
せやな。
あわもから作戦を聞いたときは何かと思ったけど、まあ人助けということで……。
あわもから作戦を聞いたときは何かと思ったけど、まあ人助けということで……。
この世に悪の栄えたためしなし!
路地裏ごときを占拠して世界を手に入れた気になっている貴方たちに、この『漆黒の』めたんが天誅を下すわ!!
路地裏ごときを占拠して世界を手に入れた気になっている貴方たちに、この『漆黒の』めたんが天誅を下すわ!!
……えっ!?
めたんが現れたことでなぜかホッとしている様子の『ツインスター』さんたちを尻目に、スイッチが入っためたんは仰々しく啖呵を切ります。
そして、彼女は懐から財布を取り出すと――その手に、三千円を掲げました。
そして、彼女は懐から財布を取り出すと――その手に、三千円を掲げました。
えっ、お金!?∑(゚ω゚ノ)ノ
ええ。変身してみて分かったの。
わたくしの変身のトリガーは「お金」。
459円の家宝じゃ、一瞬しか変身が持続しないのよ!
わたくしの変身のトリガーは「お金」。
459円の家宝じゃ、一瞬しか変身が持続しないのよ!
――変身!
意外と着やせする(ずん子談)めたんの身体を、漆黒の帯がきゅっと縛り付け――徐々に、身体と服を黒く染めていきます。
そして、彼女が掲げていたお札も、その帯の中へと消えていきました。
そして、彼女が掲げていたお札も、その帯の中へと消えていきました。
路地裏の影よりも暗い、黒き闇。
変身が完了しためたんは、自分の身長の二倍ほどもあるドリルを、軽やかに振り回すのです。
変身が完了しためたんは、自分の身長の二倍ほどもあるドリルを、軽やかに振り回すのです。
は!?
うおっ、か、影が私たちの足元に伸びて――!?
うおっ、か、影が私たちの足元に伸びて――!?
「影踏み」か!?
アカン、身動きが……反射! 反射してくれ総帥!
アカン、身動きが……反射! 反射してくれ総帥!
「ごっめーん☆ 無理っぽい☆」
影、そして闇はこの世界に――そして貴方たち自身の中にも、あまねく存在するものよ。
傲慢にもそれを『否定―反射―』しようなど、無理な相談だわ。
傲慢にもそれを『否定―反射―』しようなど、無理な相談だわ。
ぐっ……!
闇の力で拘束され、二人組が膝をつきます。
その拍子に、「彼女」たちの顔を隠していた覆面も、地面へと落ちました。
その拍子に、「彼女」たちの顔を隠していた覆面も、地面へと落ちました。
えっ? しのびちゃんにつるぎさん!?∑(゚д゚;)
なんで!?
なんで!?
……!
なるほど、そういうことね……。
なるほど、そういうことね……。
事情を察した黒めたんが舌打ちをします。
そして彼女は愛用のドリル「ハイド」を虚空へと向けると――その先端から、漆黒の光線のようなものを撃ち出しました。
そして彼女は愛用のドリル「ハイド」を虚空へと向けると――その先端から、漆黒の光線のようなものを撃ち出しました。
……そこかしら。
うひゃあ! ギブギブ!
あわもちゃん!?
それに……、道をふさいでいたあの巨大な塊は!(;゚∀゚)
それに……、道をふさいでいたあの巨大な塊は!(;゚∀゚)
……………………大江戸ちゃんこ。
なるほど、反射された時点で気付くべきだった。
なるほど、反射された時点で気付くべきだった。
『え、えー(汗)
「大都会」のみなさまぁ、いつの間に路地裏のチンピラに身をやつしてしまったんでしょうか……(泣)
「大都会」のみなさまぁ、いつの間に路地裏のチンピラに身をやつしてしまったんでしょうか……(泣)
ち、違うよ!?
めたんちんが色々と回りくどいから、ボクたちで一芝居打とうってやつだよ!
めたんちんが色々と回りくどいから、ボクたちで一芝居打とうってやつだよ!
……それ以上余計なことを言わない方がいいわ。
口封じの手段はいくらでも……。
口封じの手段はいくらでも……。
……………………ええ。
あ、貴女たちも!/// 気にしなくていいから!///
『でもぉ、体調よさそうですね~♪ 変身したら治ったとか?』
そうね。変身すれば治ることくらい分かっていたのよ。
だから、貴女たちも無理する必要はなかったのに……。
だから、貴女たちも無理する必要はなかったのに……。
なら、さっさと変身せーや! 本当に回りくどいな!
そんなことないよ!(`・ω・´)
うっ……///
身を乗り出してくるずん子の勢いに押されて、『漆黒』となっためたんが後ずさります。
初めて彼女が怯んだ瞬間かもしれません。
初めて彼女が怯んだ瞬間かもしれません。
……はいはい。
まあ、ありがとうね。そらも、うさぎも。
まあ、ありがとうね。そらも、うさぎも。
あははっ。最初からそう言えばいいんだよ!
これにて一件落着だねっ!
これにて一件落着だねっ!
うふふ……。
果たしてそうかしら……?
果たしてそうかしら……?
ひっ!?
蒼の深さを増しためたんの瞳が、キッとあわもを睨み付けます。
誰も何も損していない――かと思いきや、失ってしまったものがあるではありませんか。
誰も何も損していない――かと思いきや、失ってしまったものがあるではありませんか。
なるほど、そういう理由だったのね。そのことには感謝するけれど。
とはいえ!
私は今回喪失を経験したわ。皆を守るための力――、かけがえのない『三千円』を!
とはいえ!
私は今回喪失を経験したわ。皆を守るための力――、かけがえのない『三千円』を!
ふふ。償ってもらうわよ、『大都会』のみなさん。
お金は私の力。貴女たちが礎となって、世界の平穏が保たれるの。
光栄に思いなさい。
お金は私の力。貴女たちが礎となって、世界の平穏が保たれるの。
光栄に思いなさい。
貴女たちの「影」は――今や私の掌の上。
風邪? 有休? 認めないわ!
風邪? 有休? 認めないわ!
カツンと「ハイド」を打ち付けて、めたんがその身に纏った「障気」を高めます。
その霧に連れられて――『大都会』の面々は、ぞろぞろと働きに連れて行かれてしまいました。
その霧に連れられて――『大都会』の面々は、ぞろぞろと働きに連れて行かれてしまいました。
ぶ……( ゚ω゚;)
その後、三千円の効力は約三十分で消滅。
めたんの拘束力も当然消滅し、結局三千円ぽっきりしか帰ってきませんでしたが――それはまた、別のお話。
めたんの拘束力も当然消滅し、結局三千円ぽっきりしか帰ってきませんでしたが――それはまた、別のお話。
(第1話はこちら!→ http://togetter.com/li/320198 )
(前回:第89話はこちら!→http://inove.jp/sectionview.php?sectionid=696 )
(次回:第91話はこちら!→ http://inove.jp/sectionview.php?sectionid=876)
(魔法少女編記事一覧はこちら! http://inove.jp/sectionview.php?sectionid=59 )
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