「やったか?」はやってないし「力が欲しいか」の力はろくでもない――東北ずん子小説魔法少女編:第11話
お決まりのセリフというものは、お決まりになりうる力を持っているものです。いい攻撃を当てたら「やったか?」と言うことで手応えがあったにも関わらず相手がそれ以上の力を持っていることを示せますし、「力が欲しいか?」と言った以上はその「力」をどっかで見せないとなんの意味もないセリフになってしまいますしね。あと最初から四天王のうちの最強キャラを負かすわけにもいかないので、「アイツは四天王の中でも最弱……」となってしまうわけです。可哀想な最初の四天王……。
(――「ふるさと女学院」・体育館裏――)
――力が欲しいか?
謎の少女に詰め寄られ、つるぎが後ずさりします。
つるぎと比べると、二回りほども背が低い相手なのですが――すっかり、気圧されてしまっているようです。
つるぎと比べると、二回りほども背が低い相手なのですが――すっかり、気圧されてしまっているようです。
た、大将! 誘惑に負けてはアカン!
……くっ、うちの声じゃダメか……。
……くっ、うちの声じゃダメか……。
少し離れた場所で、しのびとあわもが自分たちの上司を応援していますが――、つるぎの耳には、彼女らの声は届いていないようでした。
そう。
彼女の目は、謎の少女が差し出している「力」に釘付けになっていたのです。
彼女の目は、謎の少女が差し出している「力」に釘付けになっていたのです。
――「力」が、欲しいか?
……………………!!
(――「ふるさと女学院」・昼休み――)
はっはっは。まあ致し方ないことだ。
それに、実働するのはしのびだから。
それに、実働するのはしのびだから。
(鬼や……。大将は鬼や……)
つるぎの両手には、彼女の「推す」アイドルたちのオフショット写真=「力」が数枚ほど握られていました。
上機嫌の彼女に対して、完全に被害を被ったのはしのびです。
上機嫌の彼女に対して、完全に被害を被ったのはしのびです。
『あ~……。「力」を行使した代償は大きかったみたいですねー。
しのびさまの両脚に大量の湿布が貼られていてぇ、これでは女子力も……』
しのびさまの両脚に大量の湿布が貼られていてぇ、これでは女子力も……』
(しのび、何となく親近感を感じるのだ~……)
いや、その速度を出すと長距離は保たないから、もっとゆっくり行ったけどな。
400年前の四国へ。
400年前の四国へ。
400年前の四国!?∑(゚◇゚ノ)ノ
じゃ、じゃあ、まさかつるぎちゃんに迫った「謎の少女」って……。
じゃ、じゃあ、まさかつるぎちゃんに迫った「謎の少女」って……。
めたんちゃ…………うおあ!?∑(゚д゚;)
……………………まぶしい。デコが。
四国といえば、彼女しかいません。
見たこともないようなハイテンションで教室に駆け込んできためたんです。
見たこともないようなハイテンションで教室に駆け込んできためたんです。
ありがとう! ありがとう忍者さん!
貴女が手がかりを見つけてくれた「アレ」、まだ同じ場所に埋まっていたわ!!
貴女が手がかりを見つけてくれた「アレ」、まだ同じ場所に埋まっていたわ!!
『つるぎさまを脅迫した犯人、あっさり分かっちゃいましたね~……。
それにしてもめたんさま、テンションが上がりすぎてキャラ付けを忘れているような……』
それにしてもめたんさま、テンションが上がりすぎてキャラ付けを忘れているような……』
ふふふ……。五月に咲く東北の桜やつつじのように、わたくしの春も五月にやってきたのよ!
そう! 四国家復興の春が!!
そう! 四国家復興の春が!!
いや、めたんくんは四国の人なのだから、東北の花は関係ないだろう。
まあまあつるぎさん、まあまあまあまあ。
で、何を見つけたのだー?
……………………その手に持っているものは?
そう! これよ!
400年前の四国に行ってもらうことで、どこに隠されているかのヒントを持ち帰ってもらったの!
400年前の四国に行ってもらうことで、どこに隠されているかのヒントを持ち帰ってもらったの!
こちらの時代に戻るために、きりたんくんに手伝ってもらった。
私と同じく、写真で……まあ、彼女はずん子くんの写真で、買収されたらしい。
私と同じく、写真で……まあ、彼女はずん子くんの写真で、買収されたらしい。
そ、そんなあこぎな商売を……(´ω`;)
でも、そこまでして手に入れるってことは……?
でも、そこまでして手に入れるってことは……?
ふふふ……。
すっかり中二用語を使うことも忘れ、めたんはドヤ顔で仁王立ちしています。
まるで、ずん子の質問を待っていたと言わんばかりです。
まるで、ずん子の質問を待っていたと言わんばかりです。
そのとおり!
この漆塗りだったと思われる箱の中身は、ご先祖様が現代に残してくれた貴重な一品!
つまり――、
この漆塗りだったと思われる箱の中身は、ご先祖様が現代に残してくれた貴重な一品!
つまり――、
(――東北家・リビング――)
というわけで、開けようと思うの!
……………………うーん。
霊感が強い二人がすごいためらってるんですけど……(;゚∀゚)
教室で開こうとするめたんを取り押さえ、ずん子たちはとりあえず東北家まで移動しました。
過去の色々な経験から、何があってもおかしくないからです。
過去の色々な経験から、何があってもおかしくないからです。
ええ、よろしくね!
(あ、これは止まらないな……(;´Д`))
めたんの様子を見て、一同は止める気をなくしました。
元々四国家のものなのですから、止める理由も特にないのですが。
元々四国家のものなのですから、止める理由も特にないのですが。
じゃあ、今度こそ開けるわよ!
分かりました(´・ω・`)
あたしたちは、何かあったときのために結界の準備をしておきますね。
あたしたちは、何かあったときのために結界の準備をしておきますね。
――カパッ。
と、開いた瞬間でした。
と、開いた瞬間でした。
ちゅっ!?∑(゚ω゚ノ)ノ(ビクンッ
『……イタコさま~?』
やっぱり何か入ってたじゃん!?(;゚∀゚)
イタコ姉さま、大丈夫ですk……。
イタコ姉さま、大丈夫ですk……。
『……………………力が欲しいかにゃ?』
語尾を聞けば、イタコに何か変な霊が取り憑いてしまったことは明らかでした。
とはいえ、うさぎが特に焦っていないということは、緊急事態というわけではないのでしょう。
とはいえ、うさぎが特に焦っていないということは、緊急事態というわけではないのでしょう。
『中には……アクセサリーでしょうか~♪』
何かしらこれ。『十字架―クロス―』……?
でも、花弁が四つある花のようにも見えるわね。
でも、花弁が四つある花のようにも見えるわね。
……………………そういえば、400年前って四国は四国じゃなかったのに、なんで四国家?
『まあまあ~♪
というわけでぇ、まーくつーが買い取り価格を検証いたしますね~♪
えーっと骨董品屋さんでしょうかぁ、すぐに検索結果が…………あ、あれぇ?(汗)』
というわけでぇ、まーくつーが買い取り価格を検証いたしますね~♪
えーっと骨董品屋さんでしょうかぁ、すぐに検索結果が…………あ、あれぇ?(汗)』
そら?
もしかして『気―金額―』が大きすぎて、そのスカウターでは表示できないのかしら!?
もしかして『気―金額―』が大きすぎて、そのスカウターでは表示できないのかしら!?
……………………は?
(し、459(しこく)円なのだー……。わ、笑いを堪えるのだずんだもん……!)
め、めたんちゃーん!?。・ ゚・。* 。 +゚。・。* ゚ + 。・゚・(ノД`)
459円では、掘り起こすためにわざわざ四国まで出向いた交通費の片道分にもならないでしょう。
金額を聞いためたんのショックはいかほどか、想像もできません。
金額を聞いためたんのショックはいかほどか、想像もできません。
…………。
……………………あ。めたんの人の周囲に負のオーラが……。
表情を隠すように俯いてしまっためたんの元に、イタコに憑依した誰かさんがにじり寄っていきます。
『我が漆黒家の末裔よ。我は汝に漆黒の力を授けるため、四百年以上の時を地下で過ごしてきた者なり。
今一度問う、力が欲しいかにゃ?』
今一度問う、力が欲しいかにゃ?』
…………ご先祖様……? 漆黒の力……?
イタコ(の中に入っているご先祖様)の深紅の瞳に見据えられて、めたんがおもむろに顔を上げます。
なんというか、この一族は昔からこんなんだったのでしょう。
なんというか、この一族は昔からこんなんだったのでしょう。
『左様。
我が一族は闇に生きる運命を抱き、「漆黒家」として世の人々に恐れられてきた。
その後、世を忍ぶために「四国家」と改名したそうだが――この四ツ葉十字の家紋は変わらないにゃ』
我が一族は闇に生きる運命を抱き、「漆黒家」として世の人々に恐れられてきた。
その後、世を忍ぶために「四国家」と改名したそうだが――この四ツ葉十字の家紋は変わらないにゃ』
……………………うわっ、完全に夢中になっている。
あはは、そんなまさかなのd……あれっ、本当に黒くなってきてるのだー!?
『ふふふ……。我らの家紋を手に取り、漆黒を纏え! 我が末裔よ!』
……これが、四国家の家紋……?
め、めたんちゃん!((( ;゚Д゚))) そんな簡単に触っちゃ……!?
ずん子の制止も間に合わず、ご先祖様の言葉に導かれるように、めたんが、箱の中で鈍く輝く「四ツ葉十字」の家紋を手に取ります。
すると――、どす黒い光の帯が、めたんの身体に巻き付くように流れ出したのです。
すると――、どす黒い光の帯が、めたんの身体に巻き付くように流れ出したのです。
きゃああああっ!?
……あ、あれ……?
あはっ。あはははははっ!!
……あ、あれ……?
あはっ。あはははははっ!!
光の帯がめたんを染め終えると、中からは――、まるで別人のようになった漆黒の少女が、姿を現わしたのでした。
『く、黒い……!?』
めたんちゃん……!?( ゚ω゚;)
全身から放たれる黒いオーラ、心なしか際どくなった露出、キレを増した不敵な笑み。
――それは、確かに「変身」です。
――それは、確かに「変身」です。
……私の名は漆黒のめたん。
!? めたん、一人称が……!?
幾星霜の刻を超え、ようやく純白のくびきから解き放たれたわ。
それにしてもこの世界は、今の私には眩しすぎるわね……。
それにしてもこの世界は、今の私には眩しすぎるわね……。
な、なんですのこの言葉づかいは!?(;゚∀゚)
ふふ。「黒の者」を見た人々は皆同じ反応をする…………ぐッ!?
『め、めたんさま~?(汗)
額を抑えて、一体何を……』
額を抑えて、一体何を……』
の、脳髄が割れるように疼く……!
私の内に秘めた妖力、我が輪郭を形成する肉体では御しきれないというの!?
私の内に秘めた妖力、我が輪郭を形成する肉体では御しきれないというの!?
がくりと、めたんが肩で息をしながら膝をつきます。
演技なのか本当に苦しいのか判然としませんが、とりあえず純粋なずん子は騙せたようで。
演技なのか本当に苦しいのか判然としませんが、とりあえず純粋なずん子は騙せたようで。
め、めたんちゃん!? 大丈夫!?(´;д;`)
……足りないわ……。
……………………えっ?
えっ!? えっ!?
足りないって、一体何が……∑(゚д゚;)
足りないって、一体何が……∑(゚д゚;)
……ッ、漆黒が解ける……。
やはり、この世は地獄なのかもしれないわ……ね……。
やはり、この世は地獄なのかもしれないわ……ね……。
ずん子の腕の中に抱えられためたんは、虚空に向かって弱々しく手を伸ばし、世を儚む一言を述べたあと――、
――「純白」に戻って、倒れました。
め……(´゚д゚`)
(打たれ弱い中二病……( ´Д` ))
(第1話はこちら!→ http://togetter.com/li/320198 )
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(魔法少女編記事一覧はこちら! http://inove.jp/sectionview.php?sectionid=59 )
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