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魔王ふたり・12

タグ:魔王ふたり LOVE魔王

琴葉 茜
はあぁぁ……。
琴葉 葵
ふふ、瘴気のように甘い吐息をしているな。
琴葉 茜
そういうあなたの肌は、トカゲの舌のようにぬめやかだぞ。
琴葉 葵
君の愛撫のせいだよ、それは。
琴葉 茜
あなたの乳房は染み込むように私の手に馴染むからな。
琴葉 葵
くく、魔王と魔王が褥を共にする……。
琴葉 茜
いっときの戯れのつもりだったが悪くない。
琴葉 葵
互いに無限の魔力を持つもの同士だ。
琴葉 茜
文字通り底なし、というわけだ。
琴葉 葵
時は無限に繰り返す。
琴葉 茜
存分に私の口で喉を潤すといい。
琴葉 葵
いわれるまでもない。
小日本(こにぽん)
狂態はここまでだ。
琴葉 葵
おう、無粋な。
琴葉 茜
今度は貴様らが我らに抱かれるか?
日本鬼子(ひのもと おにこ)
悪いけどー、私の相手は決めてるのーさ。
小日本(こにぽん)
聞きたいことがある。
琴葉 葵
おう、いいぞ。我らの懈怠を埋めてくれるならな。
日本鬼子(ひのもと おにこ)
服着たらー?
琴葉 茜
なんだ? 魔王の肢体に情欲を催したか。
日本鬼子(ひのもと おにこ)
そんなもん、唾吐いてやるさー。
琴葉 葵
いいじゃないか。女同士だ。……くく。
小日本(こにぽん)
……、

「世界の真理の扉」について聞きたい。
琴葉 茜
単刀直入だな。
小日本(こにぽん)
「扉」を開いたことはあるか?
琴葉 茜
ある。
小日本(こにぽん)
その奥は?
琴葉 葵
その答えを知りたかったら、私の足をしゃぶるがいいさ。
日本鬼子(ひのもと おにこ)
このっ……!
小日本(こにぽん)
「切断姫」を納めろ。

……いいだろう。
琴葉 葵
ほぉ……。

冗談だ。私も答えに興味があるからな。
琴葉 茜
期待させて申し訳ないが、私は奥を覗いただけだよ。
琴葉 葵
なにがあった?
琴葉 茜
闇さ。暗黒星のような。
小日本(こにぽん)
そうか。
琴葉 葵
それがどうだというんだ?

これが知りたかった答えか?
小日本(こにぽん)
いや。

「世界の真理の扉」。
「C」は、それを「バックドア」と呼んでいた。
琴葉 葵
ふうん。ところで「C」とはなんだ?

ずいぶんと畏れ敬ってるようだが。
日本鬼子(ひのもと おにこ)
魔王風情に関係ないなーい。
琴葉 茜
なんだ、質問のお返しはナシか?
日本鬼子(ひのもと おにこ)
お返しに、アンタらまとめて存在ごと「切断」しよーか?
琴葉 葵
吠えるなあ。メンテナンスボット風情が。くく。
小日本(こにぽん)
そこまでわかっていて「C」を知らぬのか。
琴葉 茜
「数式」に書いてないからな。
小日本(こにぽん)
「C」とは、いわば我らすべての「母」だ。
琴葉 葵
仰々しいな。まさか神だとでもいうのか。
小日本(こにぽん)
あながち外れてもないな。
琴葉 茜
ほう?
小日本(こにぽん)
「C」とは、「クリエイター」の頭文字。
すなわち「世界の創造者」の意。

そして我らメンテナンス・ボットの母親のようなものでもある。
日本鬼子(ひのもと おにこ)
私らだけが、この世界で「C」に会ったことのある存在なーのさ。
小日本(こにぽん)
そして、ひとりひとりに「名前」を頂いた。

それが我らの誇りであり、生きる証。
琴葉 葵
それはそれは。

ちなみに、どのような「名前」なのだ?
小日本(こにぽん)
いわぬ。
琴葉 葵
なるほど。
それがボットどものレーゾンデートルであり、
さしずめ大事な心の小箱といったところか?
小日本(こにぽん)
なんとでもいえ。
琴葉 茜
で、そのありがたい「C」がなんだという?

今の我らに関係あるか?
日本鬼子(ひのもと おにこ)
今の世界の惨状をなんとか出来るのは「C」だけなーの!
琴葉 葵
無限に繰り返す世界、をか。
琴葉 茜
特に不都合はないが。
琴葉 葵
この場の一同、みな「超越者」だからな。

気にさえしなければ、問題ないではないか。
小日本(こにぽん)
ふう。
日本鬼子(ひのもと おにこ)
まったく。知らないって幸せそーでいいーね。
琴葉 茜
なに?
日本鬼子(ひのもと おにこ)
問題はそこじゃーないのーさ。
琴葉 葵
はて? これ以上の問題などあったか?
小日本(こにぽん)
大事なのは「世界のあるべきシナリオ」だけだ。

この狂いだけが問題なのだ。
琴葉 茜
ふむ? そのようなもの、「数式」にあったか?
小日本(こにぽん)
お前には読めぬよ。

「数式」ではなく、「日本語」だからな。
琴葉 葵
「日本語」……?
琴葉 茜
なんだそれは?
小日本(こにぽん)
今、我らが交わしてる言葉が「日本語」だ。
琴葉 葵
なにを馬鹿な。現に我らはコモン言語を喋っておるではないか。
小日本(こにぽん)
それは、そういう「設定」だからだ。

コモン言語などという言語は存在しない。
琴葉 茜
「設定」?
小日本(こにぽん)
まあ、このゲームは多言語対応だから我らが話しているのは日本語に限らないのだが。

ハングル、英語、フランス語、ドイツ語……。
琴葉 葵
それらも言語の名前なのか? まったく初耳なのだが。
小日本(こにぽん)
別に知る必要もない、些事だ。

大事なのは「あるべきシナリオ」だけなのだ。
琴葉 茜
その芝居台本がなんだ?
日本鬼子(ひのもと おにこ)
世界の進むべき道が書いてあるのさよ。ぜーーーんぶね。
琴葉 葵
それがなくてなぜ困る?

現に世界は動いている。
小日本(こにぽん)
けど違ってる。
琴葉 茜
その「シナリオ」とは、だろう?
琴葉 葵
予定調和など、はっ、あくびが出るわ。
日本鬼子(ひのもと おにこ)
まったく、「キャラクター」ってのはホント、進歩がないのーよ!
小日本(こにぽん)
「キャラクター」の本質とはそれだ。仕方ない。
琴葉 葵
「キャラクター」? またも芝居がかった言葉が出たな。
琴葉 茜
記号的登場人物、という意味だったか?
日本鬼子(ひのもと おにこ)
まさにそうなーの。
小日本(こにぽん)
自分の目で自分の目は見えぬものだからな。
琴葉 茜
見る?
小日本(こにぽん)
お前たちは、私たちをボットと見破った。

それは私たちが、お前たちと異質な存在だからだ。
日本鬼子(ひのもと おにこ)
あんたらが互いを見ても、「普通」にしか見えないでしょー?
琴葉 葵
苛立たしいな。

それが?
小日本(こにぽん)
お前たちは「実在」しない。
琴葉 茜
ほ?
日本鬼子(ひのもと おにこ)
私らと同じ、「架空の存在」なの。プログラムコードの一節に過ぎないのーよ。
小日本(こにぽん)
より詳しくいえば、「自立型人工知能プログラム」のひとつだ。

私も。お前たちも。この世界すべてのひとびとも。
ト書き
続く。