世はまさにアイドルアニメ戦国時代!
かつて、これほどまでに二次元のアイドルたちが群雄割拠した時代があったでしょうか。アニメだけでも四本あり、しかもそれぞれの作品がそれぞれのファン層をがっちり掴んでいるように見えます。それぞれの作品がどのようにお金を儲けているかという生々しい観点からの分析もしてみたいのですが、まずはアニメならではの特徴として、それぞれの作品がどのように「アイドル」の概念をアニメ向けにチューンして脚本を書いているのかが気になりますよね!斧を構えてクリスマス用のモミの木を切り出すアイドルとか、廃校を防ぐために部活として頑張ろうとするアイドルとか!
(――某日・ずん子たちのバイト先のファミレス――)
目の前の机に並べられた刀剣の数々を見て、ずん子は溜息しきりです。珍しくお客側として来店しているらしい彼女の向かいにはつるぎが、そして隣にはイタコ姉さまが座って、真剣な表情で話し合いに臨んでいました。
バイトがてらに三人の様子を見守っていたしのびが、自分のことを棚に上げて苦笑しています。もっとも、彼女とつるぎが顔見知りであることはまだ隠しているようで、厨房の近くにある柱に身を潜めて、こっそりと眺めているようですが。
(――回想――)
東北家のリビングの戸が豪快に開かれます。自宅でずんだ餅を食べながら歓談していたずん子たちは、何事かという表情で、一斉にイタコ姉さまの方を向きました。
だから、それどころじゃありませんわ!(#゚皿゚) ずんちゃん、明日の放課後は空いていまして!?
そう言い残すと、イタコ姉さまは嵐のように去って行ってしまいました。
(――回想終了――)
といった具合で……(;´・ω・)
どういう意味なのかよく理解できなかったずん子ですが、つるぎの目が本気であることだけは分かりました。そして、彼女の隣でイタコ姉さまが「うんうん」と、満足そうに頷いていることも。
ふふ、ごめんなさいですわ。本当のことを言ったら、ずんちゃんに断られちゃうかと思いまして(o'∀'人)
突如として立ち上がったイタコ姉さまに自分の言葉を遮られて、つるぎは目を丸くします。
隠さなくてもいいですわ!(σ゚∀゚)σ 物心がついたときからずんちゃんのポテンシャルを確信し、来る日も来る日もカメラを向け! コスプレをさせ! 時にはイタコの能力を使ってまで他人の視線を意識させ! いつでもメディアに出られる準備をしてきたのはこのあたし!ヽ(*^ω^*)ノ
鳩が豆鉄砲を食らったかのような表情で硬直するつるぎの姿を見たのか、厨房の方から大爆笑が聞こえます。それに構わず、イタコ姉さまは力説を続けました。
こんなこともあろうかと、今日は今までに出したずんちゃん写真集!(σ゚∀゚)σ 同人誌!(o'∀'人) 動画!∑d(゚∀゚d) 全部持ってきましたわ! ささ、無料で差し上げますわ!(ドサドサ
(イタコ姉さま基準で)健全な範囲で色気を振りまいているずん子本、ポスター、そして動画のサムネイルがつるぎの前に展開します。今よりもっと若い頃の写真から、最新のものまで。ふとももを中心とした魅惑的な資料集です。
――その時、つるぎに電撃走る!
……ふふ。その一冊に目を付けましたか。なかなか「いい眼」をお持ちのようですわね(¬_,¬)b 何を隠そう、その一冊はあたし、きりちゃん、そらさんの三人の技術とフェティシズムと愛を注ぎ込んだ渾身の一作!! 頒布してませんから、あたしたちしか持っていませんわ!!
その動画、何度もリテイクをした名PVですわ!( *'3`)ノ あえて何度も踊らせることによって浮かび上がる汗! 上気する肌! 乱れる吐息! その中で頑張るずんちゃんの一生懸命さ! ファンの心を射貫く一作に仕上がっておりますわ!!
(ど、どうする中部つるぎ……。前回は白ロリの少女に頬を奪われ、今回はこの破廉恥な作品群だ。能力に申し分はないが、気品という意味での資質はどうだ? 「元帥」に悪い影響を与えたりはしないか? 周りの人間にずいぶん慕われているようだが……)
目の前の作品を否定するかのようなつるぎの一言に、ガタタッ、とイタコ姉さまが動揺します。
ちゅ、中部さん……あなた……(`・д・´)
中部さんの仰るとおりですわ!ヽ(≧▽≦)ノ ずんちゃんの本当のウリは色気なのではありません! その性格、気質! 自然と周囲に人を集め、自然と応援したいと思わせてくれる、儚くも強いその性格!
理解者を得たイタコ姉さまの目は、らんらんと輝いています。なにか厨房の方から鋭い突っ込みが入ったような気がしますが、誰も気にしていません。
急に声のトーンを下げたイタコ姉さまの豹変ぶりに、つるぎが身構えます。ずん子はもう諦めの域に達しているのか、手持ちのアイスティーで遊び始めました。
世はまさにアイドル戦国時代。軌道に乗ったアイドルはともかく、駆け出しの頃は、固定層をつかむためになりふり構ってはいられません。もちろん、仕事を選ぶなんてもってのほかですわ。そんなことをしていては、自ずから可能性の規模を小さくしてしまうようなものです(ノ∀`;)
……ふっ。いい線までは行きましたが、その体たらくではとてもずんちゃんをお任せすることはできませんわね。ずんちゃんの魅力に気付いてくださったことには感謝いたします。ですが、申し訳ありませんが、この話はなかったことに……(*´ェ`)ノ
行きますわよ、ずんちゃん(´・д・`)
ええ。残念ながら、スカウトの話は破談になりましたわ(。-∀-)ノ
立ち上がったイタコ姉さまに続くようにして、脳内ずんだ会議を開いていたずん子も慌てて席を立ち、つるぎに会釈をします。取り残されたつるぎは屈辱に肩を震わせていましたが、やがて、イタコ姉さまの背中に向かって語りかけました。
……………………(ピタッ
そうして、すまし顔のイタコ姉さまと、頭にクエスチョンマークを浮かべたままのずん子は、店から去っていったのでした。
(――同日夜、某アニ○イト――)
リベンジに燃えるつるぎは、徹底したリサーチを始めていました。
(それにしても、アイドルというものは奥が深い。まるで妖刀のようだ。若さを前面に出せばいいというわけでもなく、純粋に踊りと歌で勝負できるわけでもない。もっと別の――そうだな、ある種の「妖力」と呼ぶべき魅力の総合体のような何かが、存在しているのかもしれないな)
難しい顔をしながら、特設コーナーを回ります。彼女の両腕には、すでに他店をめぐってきた結果としての、4つの巨大な紙袋がぶら下がっていました。
幼女「あー! あのお姉ちゃん子供向けゲームやってるー!」
すっかり慣れた手つきで筐体に100円を投じながら、つるぎは不敵にほくそ笑みました。(※実際のアニ○イトにアイ○ツ!の筐体はありません。)
(――三日後、同ファミレス――)
目の前に並べられているアイテムの数々を見て、ずん子とイタコ姉さまは絶句していました。
『ラブラ○ブ!』のラ○カに、『アイ○ツ!』の全国ランキング上位の学生証……。これはA○B0048、スマホにはシンデ○ラガールズ……!!
厨房から彼女らの様子を見ていたしのびが頭を抱えます。結局何が何なのか一切理解できていないずん子の目は泳いでいます。そんな中、イタコ姉さまはといえば――。
勉強に対するこの貪欲! 本物を見抜くその眼力! そして何よりこの業界で勝ち抜くのに必要な根性と、信じる力!!(o´∀`o)ノ アイドルへの献身に満ちていて、なおかつ責任を全うしようとするその心意気! ……あたしの完敗です。あなたになら、ずんちゃんを任せられますわ!∑d(゚∀゚d)
え!? ちょっ……任せるって、何を!?((( ;゚Д゚))) どういう風に!?
イタコ姉さまに深々と礼をして、つるぎはずん子の腕を取り、引きずっていきます。イタコ姉さまはそれを満足げに見送り、つるぎはといえば、その瞳を野心に燃やしていました。
――その後、自宅でロイヤリティをはじめとする権利関係の分配について必死に勉強するイタコ姉さまの姿が見られましたが、それはまた、別のお話。
――おわり―― (※今回もまとめのコメント欄にて感想をお待ちしています! また、まとめのコメント欄にずん子のイラストを投稿してくださる方も募集中です! コメント欄に投稿していただいたイラストに限り、公式から転載させていただく可能性がありますので予めご了承くださいね。)
次回はこちら http://inove.jp/ivsid1428
























